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「余命は1年もないと医者が」末期ガン…76歳で死去の名将エリクソン最期の古巣行脚「おかえり監督!」ラツィオサポが大歓迎したワケ
posted2024/08/28 11:02
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Kaoru Watanabe/JMPA
サッカー界の名将がまた一人、天へ召された。
イタリアやポルトガルの強豪クラブで欧州を席巻し、イングランドを初めとする各国代表チームを率いてW杯やEURO、アジアカップと世界を股にかけて戦った監督スベン・ゴラン・エリクソンが、26日、享年76歳で亡くなった。
今年1月、末期ガンに犯され「余命は1年もない」
この8月に配信された生前最後のドキュメンタリー番組「Sven」で、彼は末期の言葉を残している。
「いい人生だった。我々は誰でも死ぬ日を恐れる。だが、生と死はつながっているものだ。(死後)人びとが私のことを“いつでもできる限りのことをしようとした男だった”と記憶に留めてくれることを望むよ。どうか悲しまないでほしい。笑って(送り出して)ほしい。多くの監督や選手たち、ファン、すべてがファンタスティックだった。皆さん、健康に気をつけて。それぞれの人生を生きてほしい」
今年1月、末期の膵臓ガンに冒されていることを告白していた。
フィリピン代表を率いて出場した2019年のアジアカップを最後に監督業からは遠のいていた。昨年、ジョギング中に突如意識を失い、精密検査を受けたところ病魔が見つかった。
「余命は1年もないと医者は言っている」
長いキャリアの中で指導を受けた選手やコーチ、関係者は数多い。名監督の余命通告に欧州中がショックに包まれた。
「心残り? 一度でいいからアンフィールドのベンチに座ってみたかった」
末期の願いを叶えるため、リバプールは今年3月下旬にOBマッチを企画開催し、自軍のベンチにエリクソンを招待した。試合では元イングランド代表監督を「You’ll never walk alone」の大合唱が包んだ。
人生を謳歌した名将は、この世の名残に古巣クラブへの行脚を始めた。
ベンフィカやサンプドリアは春のホームゲームへエリクソンを招き、ポルトガルリーグ優勝やコッパイタリアなどをもたらした英雄指揮官に万感込めた拍手を贈った――。
彼は瞬く間に法的問題を…あれには驚いた
エリクソンが世に出たのは、母国のIFKイエーテボリを率いて82年にUEFA杯(現UEFAヨーロッパリーグ)を制したときだ。北欧から現れた34歳の俊英コーチにサッカー界は驚愕した。