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「試合前…笑顔だったのに」久保建英“怒りのゴラッソ物議パフォ”長年追うカメラマンが間近で見た全事実「仲間は振り払われてもハグ」
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2024/08/27 17:51
24-25シーズンの初得点はゴラッソとなった久保建英。直後のパフォーマンスを含めて間近で撮ったカメラマンが見た“全事実”とは
ピッチイン後にサディクから話しかけられた際には、反応を示したもののあえて視線を合わせておらず、この時すでに腹落ちしないなにかがあったのではないか。
この時、何が起こっていたのか――それを知る術は残念ながらない。
レンズ越しに確認できたことといえば、久保は、インサイドハーフのブライス・メンデスと交代しているが、いつも通りの右ウイングに入っており、右ウイングとして先発のセルヒオ・ゴメスがブライスのポジションへとスライドしている。指揮官からはこれらの戦術的変更が伝えられていたと思われるが……。
セルヒオ・ゴメスは、金メダルを獲得したパリ五輪スペイン代表の主力としてプレーしており、マンチェスター・シティから今季新加入した。中盤の補強が期待されると共に久保のライバルとも目される。
左利きのアタッカーながら、自身が先鋒となる久保とは異なり、サイドバックの押し上げを促すポジション取りや、より中盤に寄りパスで攻撃を組み立てようとするプレーが多くみられた。また正確なキックが評価され、この日の多くのFK、CKのキッカーを任された。久保投入後はインサイドハーフでプレーしており、久保との同時起用も期待できる。
久保の異変に気付いた主将と、怒りのゴラッソ
久保の交代直後、エスパニョールは、久保と相対するポジションにオリバンを投入。オリバンは、マジョルカ時代の同僚であり、軽く言葉を交わしている。
そして久保の投入から数プレーで、ゲームはクーリングブレイクに入った。
異変に気づいたゲームキャプテン、アリツ・エルストンドが久保に話しかけるが久保は背を背け、また攻守の要スビメンディからも声をかけられるが、意に介さずという反応をとっており、腹に据え兼ねる事態だったことは間違いない。
ただ久保は、ネガティブな感情に飲み込まれていたわけではない、
怒りを力に、リミッターを外したかのようなプレーを見せた。クーリングブレイク後、敵陣右サイド深くでボールを受けると、左足の細かいタッチと足裏を使って相対する敵との間合いを徐々に詰める。
そして一気に左足インサイドで前に持ち出したと同時に、同足のアウトサイドを使って相手の股下を通してカットイン。カバーに入る2枚目のDFをも置き去りにしボックス内へ入り込むと、冷静にゴールとGKの位置を確認しシュートを打ち込んだ。
久保にとって幸いだったのは、仲間たちが…
スーパーゴールを決めた久保は、前述の通り、仲間を押し退けて物議を醸すセレブレーションを行なった。