欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「試合前…笑顔だったのに」久保建英“怒りのゴラッソ物議パフォ”長年追うカメラマンが間近で見た全事実「仲間は振り払われてもハグ」
posted2024/08/27 17:51
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
8月24日、ラ・リーガ第2節、RCDエスパニョール対レアル・ソシエダの一戦。怒りを滲ませながらゴールパフォーマンスを見せたソシエダ久保建英の姿が強く印象に残る。
久保は67分、0-0の状況でピッチインする。80分、パスを受け相対する守備者の股を抜きボックス内へ侵入、そのまま左足を振り抜くと、相手GKの手を弾く強烈なシュートがゴールネットを揺らした。
掛け値なしのゴラッソを決めながらも――先制点に喜び集まる仲間を跳ね除けるようにベンチを目指した久保は、「何も聞こえないぞ」と言わんばかりに両耳に手をかざし、そしてまたユニホームの両肩口を摘み、背中に記された自身の名を誇示するような姿を見せた。
チームメートいわく「先発落ちに不満」だったとも
スペイン第2の都市バルセロナ、その郊外にエスパニョールのスタジアム、ステージフロント・スタジアムはある。
21時半のキックオフより30分ほど前、そのピッチ上では久保がサブメンバーとしてアップに臨んでいた。日本代表でもある久保の所属するソシエダは、ホームでの開幕節対ラージョ戦を落としてこの試合を迎えている。
連敗することはできない。
多くの現地メディアが、今季昇格の相手にシーズン初勝利を目指すソシエダの先発イレブンとして久保の名を予想していた。そんな中でのまさかの先発落ちであった。
ソシエダ指揮官イマノル・アルグアシルによる試合後のコメントによれば、久保の先発落ちは「戦術的なもの」という一言に尽きた。
前節に久保が受けた強い打撲や、次節との間隔が短いという日程面も考慮されたが、この日のベストイレブンではなかったという。
また守備的MFマルティン・スビメンディは「(久保は)先発ではないと分かった時、不満の表情を浮かべていた」と証言している。
指揮官は「すべての選手とコミュニケーションを取っている」と述べているが、スビメンディのコメントからは、久保が何らかのショックを受けたのは確かで、前節の敗因を押し付けられたと感じ取っていてもおかしくはない。
あの試合、久保はゴール以外でどんな表情をしていたのか
本人はこの件に関してコメントを残しておらず、真相を知ることはできないが――現場での撮影から見えた久保の表情を辿って、その日ピッチで起きていた事実を記しておきたい。