酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平「サヨナラ満塁弾で最速40-40+盗塁成功率.909」「50-50」だけでなく…“大谷にしか狙えない”マンガ超え前代未聞の大記録とは
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byUSA TODAY Sports/REUTERS/AFLO
posted2024/08/25 17:02
サヨナラ満塁ホームランで史上6人目の40-40達成。まさに水も滴る千両役者・大谷翔平である
さらに夢を拡げれば、来季、投手として復帰した大谷が「投手として初の30-30、40-40」を達成する可能性さえある。投手・大谷への負荷を踏まえて盗塁数が減る可能性はあるにせよ――今のところ大谷にしか狙えない記録を実現したら、冒頭に挙げた編集部はどんなストーリーもボツにできなくなるであろう。
ウォーターシャワーと「ドジャースでの一番の思い出」
サヨナラ本塁打を打った大谷は、いつもより淡々とした表情のように見えた。インタビューによると「打席では何も考えずに、勝ちたいなと、1本打ちたいなと。ホームに来てから気づきました」とのことだったようだ。ただ、三塁を回った時にヘルメットをファウルゾーンに放り投げた。この時に自分がしでかしたことに気が付いたのではないか。
大谷が試合の幕切れで「ものを投げる」と言えば、昨年のWBCで「世界一」が決まった刹那、大谷翔平はマウンド付近でグローブを放り投げた。
かのドキュメント映画『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』は大谷翔平の「俺のグローブどこ?」で終わっているが――この日もロハス、テオスカー・エルナンデスから手荒なウォーターシャワーでお祝いを受けたインタビュー後、「俺のメットどこ?」と言っていたのかもしれない。
大谷はこのホームランを「ドジャースに来てから一番の思い出」と言ったが、この一打は日本だけでなく、世界中の野球ファンにとって「一番の思い出」になった。
すごく幸せな時代に生きているのだな、と思う。