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大谷翔平「サヨナラ満塁弾で最速40-40+盗塁成功率.909」「50-50」だけでなく…“大谷にしか狙えない”マンガ超え前代未聞の大記録とは 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/08/25 17:02

大谷翔平「サヨナラ満塁弾で最速40-40+盗塁成功率.909」「50-50」だけでなく…“大谷にしか狙えない”マンガ超え前代未聞の大記録とは<Number Web> photograph by USA TODAY Sports/REUTERS/AFLO

サヨナラ満塁ホームランで史上6人目の40-40達成。まさに水も滴る千両役者・大谷翔平である

 かつてはアメリカでも強打者は本塁打を放ち、打点を稼ぐだけで、盗塁はリードオフマンタイプの選手の役割という認識が強かった。

 しかし1969年からジャイアンツ、ヤンキース、エンゼルスなどで活躍した外野手のボビー・ボンズが5回も30-30を記録したことをきっかけとして、「スピード」と「パワー」を兼ね備えた打者こそが本当の大選手だという認識が広がった。

 そのボビーの息子であるバリー・ボンズがこれを体現する打者となったが、1988年にホセ・カンセコが不可能と思われた40-40を最初に達成して以降、40-40は打者として「究極の目標」になったといってよい。

今回の大谷の盗塁成功率は「.909」

 6人の40-40達成者を詳細に見ていくと、左打者はバリー・ボンズと大谷翔平だけ。またアルフォンソ・ソリアーノはNPBの広島東洋カープでプレーしてからMLBに移籍しているので、大谷翔平はNPB経験者としては2人目になる。これまでの5人のうち、アレックス・ロドリゲスは遊撃手、他の4人は外野を守ったが、大谷はDH専従で、ここまで1試合も守っていない。これも異例のことだ。

 またバリー・ボンズは40-40の1回を含めて30-30を通算5回記録、アルフォンソ・ソリアーノも4回記録している。カンセコとアクーニャJr.がそのシーズンのMVPに選ばれている。大谷を除く全員が打撃のベストナインであるシルバー・スラッガーを受賞している。

 なおネガティブな情報だが――カンセコ、ボンズ、ロドリゲスは「薬物疑惑」があるとされ、本来選ばれるべき「野球殿堂」に選出されていない。

 大谷の今回の記録で特筆すべきは「盗塁成功率の高さ」だろう。大谷の成功率は.909、これはボンズの.851、アクーニャJr.の.839を抜いて最高だ。

 もちろんアクーニャJr.、大谷翔平と2年連続で40-40が出た背景には、2023年からの「1~3塁ベースの大型化」と「牽制球の回数制限」があったのは間違いない。しかし、それでもすごい記録なのは間違いない。

「最速40-40」「前代未聞の50-50」だけでなく…

 大谷の126試合での達成はソリアーノの147試合を抜いて、史上最速。また同日に「40-40」を達成したのも史上初だった。もちろんサヨナラ満塁本塁打の達成も、である。

「持っている」という言葉は、ちょっと手あかがついた感があるが――大谷はとにかく「持っている」選手なのは間違いない。

 ドジャースの残り試合は33試合。8月はホームランは出ていたものの低打率で不調だった大谷だが、40-40達成翌日の試合でも41号2ランを放つなど、間違いなく調子は上向きに転じている。あと9本、10盗塁を記録して「50-50」という前代未聞の記録を達成する可能性は大いにあるだろう。

 それだけではない。つい忘れがちになってしまうが――大谷翔平は「投打二刀流」である。

【次ページ】 「投手として初の30-30、40-40」だって夢じゃない

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