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「やってもーたー!全国に恥を…」京都国際の主将が決勝後の控え室で…“テレビに映らない”姿を記者が目撃「選手が明かした校歌のこと」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/08/25 11:03
今夏の甲子園を制した京都国際ナイン
国籍について触れられることを嫌がる人もいれば、まったく気にしない人もいる。なので、金本に話を聞くとき、私はいちおう岩淵に彼に国籍にまつわる質問をしてもいいか確認した。そして「(金本)祐伍は大丈夫ですよ」という言葉を得ていたから、安心して話しかけることができたのだ。
不安を吐露「優勝したら撃たれないかな」
岩淵はいかにも楽しそうに言う。
「校歌を歌っているときの選手の顔、よーく見てくださいよ。チラチラ周りの様子を気にしているんですよ」
3番手投手の長田塁は、その理由をこう語る。
「歌っていると、何かされるんじゃないかなと思っちゃうんで」
長田いわく、なぜ韓国語の校歌なのかという外野の批判的な声は嫌でも目や耳に入ってきてしまうのだという。
「応援されていないような気分になってきてしまいます……」
優勝した後も、長田のところへ行った。
――優勝して歌う校歌はいつもとちょっと違った?
「昨日ぐらいから、みんなで『優勝したら撃たれないかな』って心配してたんです。校歌を歌うときも最後なんで全力で歌おうと言ってたんですけど、『撃たれへんよな』みたいな感じで。怖かったんですけど、全力で歌えたんで、いつもとは違う校歌でした」
優勝前日の主将「慶応さんの動画を見て…」
「4番・ショート」で、キャプテンも務める藤本陽毅は決勝戦の直前、ユーモアたっぷりにこんな心配を吐露し、記者陣を笑わせていた。
「昨日、眠れなかったんです。優勝したいっていう気持ちはやまやまなんですけど、優勝インタビューのことを考えると緊張しちゃって。去年の慶応さんの優勝インタビューを動画で見て。やっぱ頭がいい高校と、悪い高校の差があるんで。比べられるじゃないですか」
そうは言っていたものの、藤本の優勝インタビューは朴訥で、胸を打つものがあった。
「ほんとに、今、ここに立っているのが夢みたいで、あの……ほんとに、あの……ほんとに夢みたいで、頭が真っ白といいますか、ほんとに言葉が出てこないです」
閉会式を終え、インタビューのための控え室に戻ってくるなり藤本は「やってもーたー! 全国に恥をさらしてもーたー!」と床でのたうち回っていた。