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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
馬庭優太は「プロに必要な要素を全部持っている」…では、快足センター・藤原佑は? プロスカウトが見た“大社旋風”注目選手の「ホントの評価」
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/08/24 06:01
大躍進のベスト8進出を果たした大社のエース・馬庭優太(左)と俊足巧打が目立った1番の藤原佑。プロスカウトはどう評価した?
だからこそ、「要注意」だという。
「阪神の伊藤将司とか、(日本)ハムの加藤貴之とか、高校時代、こんな感じでしたよ。むしろ、教えてもなかなか身につかない武器をいくつも持ってるのは、才能がある証拠でしょう。僕が担当だったら挙げたい。育成でじっくり体を作ったら、ドーンと変身する可能性も、十分あると思うんです」
その昔、「体がデカくてスピードがあれば、あとのことはプロで教えればよい」……誰が言ったのか、そんな都市伝説みたいな物さしで何人の「剛腕」がプロに進み、「あとのこと」と呼ばれたコントロール、変化球、タイミングの外し方が身につかずに、志なかばで球界を去って行ったことか。
「今はむしろ、コントロールは教えても身につかない。もし変化球を投げられるんなら、アマチュアの時にとっくに投げるでしょ。こっちのほうが、定説になりつつあります。スピードなんて、プロで10キロぐらい速くなってるピッチャー、いくらでもいるじゃないですか」
「まさかの後逸」も記憶に残る快足打者の評価は?
もう1人、甲子園の大舞台で、アッと驚くパフォーマンスを見せてくれた選手が、「島根の公立校」にいた。
快足のリードオフマン・藤原佑中堅手(3年・168cm64Kg・右投右打)。
資料に予選6試合で12盗塁とあったから、地元では無敵のランナーなんだろうと思っていたが、甲子園でもここまで走りたい放題されるとは。過去数年を振り返っても、ほかに誰がいたろうかというレベルの韋駄天だった。
この大会、西日本短大付高・奥駿仁中堅手のスピードにも驚いたが、藤原選手も速かった。
資料だと50m5秒8とあるが、右打席からの一塁駆け抜けを計ったら「3秒93」と出て、快足の左バッターとほぼ互角。それ以上に、フットワークの軽快さと、視覚に訴えてくるスピード感が圧倒的だ。人がジャッジする野球では、走りの威力はここにある。
捕手に「こいつは刺せない」とあきらめさせる説得力抜群の走りだ。
小柄でも、インパクトで「パチン!」といける瞬発力が光るバッティングに非力感はなし。