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同い年の大谷翔平に「すいません、写真撮ってもらえませんか?」と突撃して…中日・柳裕也が振り返る横浜高の青春時代と「大谷世代」の本音
posted2024/08/24 11:01
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
JIJI PRESS
中日の柳裕也が、初めて同学年の大谷翔平を見たのは横浜高3年春のセンバツ大会だった。
「開会式の時ですかね。有名な写真があるじゃないですか。藤浪(晋太郎、大阪桐蔭)と大谷(花巻東)がいっしょに写っている。あの瞬間を僕は近くで見ていたんですよ。もちろん2人とも知っていましたよ。これが藤浪か、これが大谷かって。僕たちの世代はプロ野球で活躍している選手が多いですが、やはり藤浪が大谷より先だったんですよ。そのころは」
「藤浪が1番で大谷が2番」
柳自身も東の名門のエースだったが、同格だとは思っていなかった。ただし、その認識は「藤浪が1番で大谷は2番」。事実、2人はいきなり1回戦で激突し、大谷は本塁打を放ったものの試合は藤浪に軍配が上がっている。スコアは9対2。そこから大阪桐蔭の春夏連覇はスタートしたのである。
在学中には甲子園でも練習試合でも対戦はない。明大を経由して4年後にプロに入った2017年に「オープン戦の時にちらりと見ましたけど、自分のことで精いっぱい」だった。遠巻きに見ていただけの高校3年生、じっくり見る余裕すらなかったルーキーイヤー。これらは対面と呼べるものではなく、会話もない。ようやく「初めまして」が実現したのは、昨年春のことだった。
“大谷に突撃”の初対面
「もう突撃ですよね(笑)」
WBC開幕直前の侍ジャパンと、バンテリンドームで相手を務めたのが中日だった。MLBの規定上、この時点で大谷に出場資格はなかったが、チームに合流したところだった。グラウンドでの打撃練習だけでスタンドのファンから中日の選手、一流がそろう侍ジャパンのメンバーまで大騒ぎ。トレーニングルームや内部の打撃練習場で、さらに体をほぐしていると聞きつけた柳は、球団スタッフと2人で「突撃」を敢行した。