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甲子園では「こういうピッチャーがいちばん怖い」プロスカウトも脱帽…93年ぶりベスト8で大ブレイク“島根の公立”大社高・馬庭優太のリアル評
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/08/24 06:00
大躍進のベスト8進出を果たした大社のエース・馬庭優太。大ブレイクのサウスポーの投球をプロスカウトはどう見たのだろうか?
その裏、この秋のドラフト会議で1位指名候補にも挙げられている剛腕と入れ替わって、ひと回り小柄に見える左腕がマウンドに上がる。
大社高(島根)・馬庭優太投手(3年・176cm81Kg・左投左打)。
珍しい名字の馬庭は「まにわ」と読んで、地元の人によると、結構よくある名字だという。
今朝丸投手の立ち上がりに熱く注目していた反動か、馬庭投手の投球練習に視線を注ぐ者は、記者席にも少ない。
1回裏の立ち上がり、センス抜群の報徳学園1番・西村大和三塁手を、スライダーでタイミングを外して、センターフライに打ち取ると、2番・福留希空中堅手の攻め方に、「オオッ」と思った。
セットポジションから、急にクイックで投げて福留選手のカウントを追い込む。映像に映った福留選手の表情が、「なめんなよ」と見えた。
スカウトも思わず「このピッチャー、いいなぁ」
次のボール、目の高さに投げた馬庭投手の速球に、福留選手、ついバットを振ってしまった。つり球に手を出して、空振りの三振。
「わかってて、やったな!」。ただの「島根の公立」のピッチャーじゃないなと思った時、横からつぶやきが聞こえた。
「うーん……このピッチャー、いいなぁ」
関東でよくお目にかかるスカウトの方だ。
前半5イニング、強打の報徳打線がシングル2本だけ。ヒット以外で外野に飛んだ打球もフライが2本。
2対0の大社リードで、前半が終わっていた。
「甲子園では、こういうピッチャーがいちばん怖い」
敏腕スカウトがつぶやいた「こういうピッチャー」……果たしてそれは、どんな投手のことなのだろう?
<次回へつづく>