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《最速インタビュー》小椋藍、来季アプリリアでMotoGP参戦決定…Moto2タイトルにこだわる23歳が明かす決断の理由「ホンダ、Moto2とで悩んだけれど…」
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2024/08/16 17:02
移籍発表直後のレッドブルリンクで、決断に至るまでの経緯と現在の心境を語った小椋
ホンダの育成ライダーとしてグランプリデビューを果たした小椋は、Moto3、Moto2クラスでチャンピオン争いに加わってきた。そして将来は中上貴晶に代わりMotoGP参戦というのが、ホンダはもちろん、レースファンにとっても既定路線となっていた。実際、Moto2でチャンピオン争いをした2年前にもホンダからMotoGP参戦のオファーはあったのだが、当時の彼はMoto2継続を選んだ。
そして今季はホンダチームアジアを離れ、MTヘルメット-MSIに移籍。現時点でランキング2位とタイトル争いを繰り広げている。
「Moto2をやりきれたら(チャンピオンを獲れたら)、MotoGPはなんでもいいと考えていた。27年にエンジンのレギュレーションも変わるし(1000ccから850ccへ)、MotoGPのマシンも変わる。そこまで待っていいという気持ちもあったが、あと2年は長いなあとも思っていた」
そんな状況でタイミング良くトラックハウスからオファーが来た。アプリリアなのか、最下位で苦悩するホンダか、それともMoto2か……。「このチャンスを逃したら」という思い、さらに「選べるのなら選ぶ」という状況が重なっての決断だった。
今季でMoto2クラスも4年目。ライバルだったラウル・フェルナンデス、アウグスト・フェルナンデス、ペドロ・アコスタらはすでにMotoGPで戦っている。小椋がとりわけ「ライバル」として意識したラウル・フェルナンデスがトラックハウスでのチームメートになるのには、何かの縁を感じる。
全力で狙う今季Moto2タイトル
移籍の経緯についてスムーズに答えてくれた小椋だが、実は彼が一番嫌う質問は「これからのこと」である。今回のインタビューでも「先の話ばっかりですね」と笑った。
23歳にしてすでに20年間のライダー生活を送ってきた小椋には、肝に銘じている言葉がある。それは「なるようにしかならない」という父の教え。ベストを尽くし、それで出た結果がすべて、というのが小椋の信条であり、「だからこそ準備が大事だと思っている」と語る。
トラックハウスとの契約は2年。
「契約書にサインをしたのはイギリスGPのレース終了後で、サインはしたけどこれまでと何も変わらない。今回発表されてもそれは同じ。残り10戦、Moto2クラスでベストを尽くし、それで出る結果を待つばかりです」
今週末、オーストリアGPが開催されるレッドブルリンクは、小椋が好きなサーキットのひとつ。未来を予想するのは大嫌いな小椋だが、今季3勝目を狙っているのは間違いない。小椋はインタビューの終わりに「まだまだ成長していると思う」と力強く語っていた。