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ロッシとマルケス、両王者の報復戦。
マレーシアGPが史上最低のレースに。
posted2015/10/31 10:30

“キック”直前、ロッシがマルケスを数秒見つめたとき、彼は何を考えたのだろうか。
text by

遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
チャンピオンシップが大詰めを迎えた第17戦マレーシアGPは、僕のグランプリ転戦26年のキャリアの中で、これまで見たことがない史上最低のレースとなった。
土曜日の予選を終えてトップグループはいつもの4人、トップからペドロサ、マルケス、ロッシ、ロレンソの順だった。
決勝レースがスタートすると、優勝したペドロサと2位のロレンソのペースが2分0秒台の周回でトップ争いし、マルケスとロッシは3位争いにまわって、コーナー毎にポジションを入れ替えながら2分1秒台から2秒台で3周目を周回した。
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そのため3位争いのふたりは、ペドロサとロレンソに対して3周回ごとに1秒近いタイムをロス。事件が起こる1周前の6周目を終えたときには、2番手のロレンソとの差は2秒755に開いていた。
ロッシが「故意に」マルケスを転倒させた?
11ポイント差でランク首位に立ち、残り2戦で今季のチャンピオンに手をかけていたロッシにしてみれば、3位争いでタイムを落とすことなく、一刻も早くトップグループに追いつきたい。だが、マルケスがしつこく絡んでくる。
そのことに業を煮やしたのだろう。
ロッシが「あいつは意図的にペースを落とした」と非難するマルケスに対して、7周目の右14コーナーでインに入って、マルケスの行く手を阻んだ。ロッシが何度か振り向いた後、突然マルケスが転倒した。
ロッシはそのまま走り続け、3位でチェッカーを受けた。一方のマルケスは、右側のステップが脱落したため、再スタートするもピットに戻ってリタイヤとなった。
この転倒事故に関し、審査委員会はロッシに対して次のような裁定を下した。
「14コーナーでほかのライダーをラインから外すために故意にはらんだ結果、そのライダーと接触し転倒をまねいた。これはほかのライダーを危険にさらす無責任な行為と考えられ、競技規則に違反すると判断された。レースディレクションは3ポイントのペナルティポイントを科すことを決定した」