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中上貴晶32歳、来季はテストライダーに…「次の日本人が活躍するときが来た」と語る小椋藍への思い《シートを受け継ぐのはタイの英雄チャントラ》
posted2024/08/21 11:01
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
中上貴晶は日本のエースとしてMotoGPクラスで7シーズン戦ってきた。だが、レギュラーライダーとして戦うのは今季が最後となりそうだ。来季、中上に代わってIDEMITSU Honda LCRのシートに座るのは、現在ホンダチームアジアからMoto2クラスに出場しているソムキアット・チャントラ。早ければ来週スペインで開催される第12戦アラゴンGPで正式発表される見込みだ。
中上は来季について6月頃からホンダと話し合いを続けてきたが、8月に入って第10戦イギリスGPで後半戦がスタートして以降のタイミングで、MotoGPクラスのテストライダーとしてオファーを受けたようだ。
先週末の第11戦オーストリアGPで、中上は「ホンダからオファーをもらい、いま考えているところ。この数戦のうちに答えを出したい」と語った。オファーに対して即答しないのはMotoGPのレギュラーライダーではなくなるからだろう。そして興味深かったのは、来季アプリリアのサテライトチームからMotoGP参戦が決まった小椋藍に関するコメントだった。
「(小椋のMotoGP参戦についての質問に)どう答えていいのかわからないが、藍にとっては大きなステップ。ホンダ、HRCのサポートを受けてる中で他メーカーにいくのは、すごく勇気のいること。藍はスピードもあるしMoto2で活躍している。MotoGPに参戦するのはベストなタイミング。次の日本人が活躍するときが来たと思う」
7シーズン目の覚悟
中上はこの数年、自分がレギュラーシートを譲るのは小椋のMotoGP昇格が決まったときと覚悟していた。そのシート、つまり日本人枠は2年前に小椋に引き継がれる予定だったが、当時は小椋が「Moto2でチャンピオンを獲りたい」とMotoGP参戦を辞退。それもあって、中上はMotoGP参戦を継続し、ホンダがサポートする日本人ライダーとしては異例と言える7年目のシーズンを迎えていた。
MotoGPクラスにおける中上のこれまでの最高位は4位。コロナ禍に開催された2020年はPP獲得やフロントローもあり、何度も表彰台獲得のチャンスはあったがものにできなかった。その後ホンダの低迷が始まり、22年のドイツGPは40年ぶりのノーポイントとなって大きなニュースになった。低迷は続き、ついにはホンダでMotoGPクラス6回のタイトルを獲ったマルク・マルケスが、23年限りでドゥカティのサテライトチームへ移籍した。
そんなホンダ陣営にあって、中上は粘り強く最後まで走ってホンダ勢最上位でゴールすることも度々あった。チームメートのヨハン・ザルコはもちろん、ホンダワークスに所属する2020年の世界王者ジョアン・ミル、今年ワークス入りしたルカ・マリーニにも「負けているとは思わない」と常々語ってきたが、大低迷期とはいえ7年で一度も表彰台獲得がないことに厳しい声があがっていた。