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「大谷翔平を本気にさせた」伝説の“甲子園8強エース”が振り返る「針金のような体の16歳」が投じた剛速球の衝撃「この子か…すごいな、この子…」 

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酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

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posted2024/08/15 11:03

「大谷翔平を本気にさせた」伝説の“甲子園8強エース”が振り返る「針金のような体の16歳」が投じた剛速球の衝撃「この子か…すごいな、この子…」<Number Web> photograph by KYODO

力投する聖光学院・歳内宏明

忘れられない光景

「そういえば……」

 歳内は記憶の断片を手繰り寄せる。あの日、試合前のウォーミングアップ中のことだ。聖光学院ナインが右翼で体を動かしていると、左翼には花巻東の選手たちも姿をみせた。ふと、フェンスに片足を乗せてストレッチしている選手が遠巻きに見えた。

「僕の身長ぐらいのフェンスがあって、足が、そのフェンスを越えていたんです。体は柔らかいし、足、長いし……」

 大谷だった。天が授けた体躯に唖然とするしかなかった。

 歳内は3年の夏も甲子園に帰ってきた。2試合で涙をのんだが、合計30三振を奪い、その秋、阪神にドラフト2位で指名された。1年後、後を追うように大谷もプロにやって来た。

深く刻まれた記憶

 歳内と大谷。ふたりが高校時代に話しこんだことはないし、プロでは一度も対戦しなかった。野球人生で交差したのはたった一度の練習試合だけである。

 投手大谷が示した13年前のスケールは、メジャーリーグの最強打者のひとりとして君臨する今の姿とダブる。歳内はあの時、異次元の潜在能力に触れ、野球観を揺さぶられた。だから、今もなお、歳内の胸中に深く刻まれている。

「僕が甲子園で活躍したとき、周りの方は盛り上げてくれていましたが、実力とのギャップをすごく感じていました。僕自身、あんまり自信はなかったんです。本当に、こういう選手がプロに行くんやろうなと思いながら大谷君を見ていました」

(続く)

#2に続く
26歳の戦力外通告に「もう辞めようと…」→“まさかの先発転向”で蘇った…元阪神右腕・歳内宏明が語る「流転の野球人生の先に見つけたもの」

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