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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「これだけ負けるのは人生初めて」西武・渡辺久信監督代行が苦悩を激白…100敗ペースの歴史的大敗シーズンも「どうにもならない状態は脱した」
text by
中島大輔Daisuke Nakajima
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/08/04 17:00
現役時代はNPB通算125勝、最多勝3回。監督としても6年間でAクラス5回、リーグ優勝&日本一1回を誇る
中日や日本ハム、楽天では今季途中にコーチの配置転換が行われたが、西武は同様の手を打っていない。つまり、コーチングスタッフの変更は指揮官のみだ。
団体競技のサッカーやラグビー、バスケットボールでは戦術が勝敗に大きな影響を及ぼす一方、野球は個対個の力関係によるところが大きい。そんな中で一軍の監督には起用や采配、モチベーションアップなどの仕事が求められるが、特にどんな能力が大事になってくるのだろうか。
渡辺が考える、監督に必須の能力とは
「監督は現場を預けられているから、采配、起用を含めて、現場全体のマネジメントができないとダメかなと思います。コーチ陣やトレーナー、バイメカ(バイオメカニクス担当)、S&C(ストレングス&コンディショニング)などスタッフがいっぱいいるので、総合的なマネジメントができないといけない。やることはいっぱいありますよ」
チームを勝たせるために集められたスペシャリストたちの力を、どう一つの方向に向けるか。それこそ、5月26日に就任してから渡辺監督代行が力を注いでいるところだ。
「組織で戦うのは、球団の指針でもあるところです。プレーヤーに限らず、サポートする人たちのモチベーションも上げないといけない。負けが込んでいるとその人たちのモチベーションも下がるし、それではチームの士気が上がってこないので。周りのサポートがあっての選手だし」
そのために必要なのが、トップの統率力だ。渡辺監督代行が続ける。
「監督って、やっぱりメッセージを発しないとダメだと思うんですよ。メッセージを発せない監督は、『うん?』と思っちゃう。スタッフやコーチに当然いろんなことをやってもらうけど、ここというところの発信力は監督には大切だと思う。それができるか、できないかによってチーム全体の雰囲気も、モチベーションも変わってくるだろうし。そこら辺はいろいろ意識してやってる部分もありますよ、監督は。ない頭を絞りながら(笑)」
後半戦初戦の7月26日、日本ハムの先発・加藤貴之に抑えられて0対1で最終回を迎えたが、土壇場で追いつき延長引き分けに持ち込んだ。翌日は3対1で接戦をモノにするなど、確かに西武は変わり始めている。
では、チーム再建に向かっていけるのだろうか。そこでカギになるのが、渡辺GMを中心とする編成部門だ。
<続く>