「セカンドセッターに求められるのは、まず根本的にどんな状況、状態にあったとしても気持ちにブレがなく、腐らないこと。試合に出る、出ない、勝った、負けたを問わずモチベーションを落とすことなくチームのために何ができるかを考えて、行動できるか。その点で見れば、僕は今のチームに深津くん以外の選択肢はないと思っています」

　同じセッターの目線から見ても「素晴らしい」と称賛される関田でも、常に毎回パーフェクトかと言えばそうではない。調子を落とすこともあれば、相手の研究や対策にハマり、うまく回らないこともある。そこでいかに流れを変えられるか。ただ“つなぎ”に徹するのではなく、“立て直す”姿勢を見せることが重要だと朝長は説く。

ベンチからチームを盛り立てる深津ら　©︎Ryosuke Menju/JMPA

「リザーブのセッターはベンチにいる分、相手が何をしようとしているか。何がうまくいっていないかというのを見てから（コートに）入る。だから自分が投入された時にどうするか、というのはハッキリしているはずです。ベンチでの深津くんを見ていると、試合を見ているのはもちろん、周りを鼓舞したり、声を出し続けていたり、常に自分だけでなくチームに矢印を向けて動けている。

　ベンチでもコートでも、うまくいかない時は常に“立て直そう”とする姿が見えます。彼の明るさ、人間性は申し分ないですから。苦しい時こそ、力になる選手でありセッターであるはずです」

　チャンスをつかんだセッターがいる一方、技術や実績があっても夢舞台にたどり着けなかった者もいる。ライバルであり仲間。兄でありライバル。関田、深津の両セッターとも深い縁と絆で結ばれた、もう一人のセッターとは？

（つづく）

◆第3回は、深津旭弘の弟・深津英臣のインタビューです。