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「関田くんは歴代No.1」では、なぜもう一人のセッターが37歳深津旭弘だったのか? 元日本代表セッター・朝長孝介が語る“二番手”の重要性
posted2024/08/01 17:03
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
L)Volleyball World、R)Takahisa Hirano
現役時代と変わらぬ風貌で、今は監督としてバレーボールに携わる。
2008年の北京五輪に出場し、2009年の現役引退からは15年が過ぎた。かつての日本代表セッター、朝長孝介は母校・大村工業高校で監督を務めている。
パリ五輪と同時期に開催中のインターハイは長崎県予選で敗れ出場を逃したが、この敗戦を春高バレーにどうつなげるべきか、「やることは山積み」と笑う顔は、現役の頃に「課題しかない」とこぼしていたのと同じだ。
母校のバレーボール部監督、教員に加え、U18(ユース)日本代表のコーチも務める。パリ五輪にも出場している西田有志や宮浦健人はユース時代にも接してきたが、やはり朝長に聞きたいのはセッターのこと。現在の日本代表、そしてその要とも言うべき関田誠大を元セッターとして、指導者として、どう見ているのか。
「関田くんはセッターとして究極ですよ」
「あれだけ動いた状況からでもクイックを使える。しかもただ上げるのではなく持っていきたいポイントに持っていける。彼自身も自信を持って上げているのが伝わってきます」
同じ場所に、同じように上げる。それだけでも決して簡単なことではないが、サーブレシーブの返球によっては、走ってボールを追いかけ、素早くボールの落下点に入って上げなければならない。しかも朝長の言葉を借りるならば「ただ上げる」のではなく、正確性も求められる。目立たぬポイントではあるが、ごく当たり前にできている関田の凄さに、元日本代表セッターも感嘆する。
「セッターとして究極ですよ。もちろん今の日本代表はスパイカー陣も素晴らしいですが、見ているとスパイカーが何とかしているという面ももちろんあるとはいえ、打ちやすい、打てるところにトスを持ってきてくれているから、スパイカーも自分の打ちたいところへ打てている印象を受けます。大げさじゃなく、関田くんは僕が知る限りの歴代日本代表で一番すごいセッターだと思います」