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なぜ関田誠大のトスは打ちやすい?「トリッキーにも見えるけど…」元日本代表・清水邦広が語る、味方だけがわかる天才セッターの“絶妙な匂わせ”
posted2024/08/01 17:02
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Volleyball World
オリンピックで勝つ難しさと、初戦の難しさ。そのどちらも突き付けられたのが、フルセットの末に敗れた7月27日のドイツ戦だった。
一度はマッチポイントを握り、「勝てる!」と思うシーンが何度もあっただけに、悔しさはつのる。それでも、始まったばかりで悲観する必要はない。
男子バレーはパリ五輪開幕前から、メダル候補として多くのメディアに取り上げられてきた。連日「メダルに向けて」とマイクを向けられた選手たちは、真摯にそれぞれの想いを返していた。
もし自分がその立場にいたら――。
「絶対、プレッシャーでしかなかった」と笑うのは、北京、東京と2度の五輪を経験した清水邦広だ。
「世界ランク2位って、ものすごいじゃないですか。オリンピックに出てくる国はみんな日本を倒そうと向かってくる。もちろん日本も挑戦者ですけど、強者としても臨まないといけない。その重圧がかかる中でも、僕はこの日本代表は史上最強だと思う。52年ぶりの金メダルを獲る力もあると信じています」
希望でも願望でもなく、確信を含めた力強さでそう話す清水は、カギを握る選手として一人の名を挙げた。
「その中でも最重要人物は関田(誠大)。この日本代表の要は彼です」
ミドルを多用する関田に“不満”?
関田と清水は日本代表として東京五輪に出場しただけでなく、2015/16シーズンからの3シーズンをパナソニックパンサーズ(現・大阪ブルテオン)で過ごした。
身長は175cm。日本国内でも小柄な部類に属するセッターだが、それを上回るハンドリングとトスの質は入団当初から際立っていた。ミドルブロッカーを積極的に使うトスワークも当時から群を抜いていたが、「できる限り自分が打ちたい」という清水は時折、不満も抱いたと振り返る。
「とにかく自分が打ちたい。ミドルやパイプ(後衛の選手がスパイクを放つ)を使って、決まればいいですけど、決まらないと『俺に持ってきてほしかった』と思うタイプなので」