赤間は「メンタル面の成長」で躍進

「スポンジのような子」

　これは銀メダリストとなった赤間凛音を長年指導してきた荻堂盛貴さんの言葉だ。吸収力がすごくて素直。人の言うことをしっかり聞いて、なんの疑いもなく練習に真摯に取り組んでいたという赤間は、前述のように2018年の全日本レディース選手権を制するなど、早くからその才能は注目されていた。

　ただ、当時は両親も含め多方面からいろいろなプレッシャーが強く、荻堂さんには滑りに自信がないように見えていたという。

昔はどこか自信がないように見えていたという赤間（2021年撮影）　©Yoshio Yoshida

五輪では勝負強さを見せた赤間　©Asami Enomoto／JMPA

　そんな彼女に変化が見え始めたのは、マネジメント会社の関係で親元を離れ、自らアメリカに行ったりと独り立ちするようになった頃だ。そこで本来の自分の姿が見えてきたのか、滑りが変わってきたことを荻堂さんは実感したという。ちょうど世界で結果が出始めたのもこの頃からだ。

　そうなると初めて経験する逆境に立たされても、跳ね返すことができる。

　昨年の夏、赤間は鎖骨と骨盤の骨折という大ケガを負った。その時も荻堂さんは心配して連絡を入れたそうだが、思ったよりも本人は前向きだったというエピソードも話してくれた。

「凛音はビビリだから本当にケガをしない方なんだよね（笑）。今までずっと経験しないできたからこそ、逆に強くなったんじゃないかな。ケガって人のメンタルを強くするからさ」

金銀メダルを獲得した同い年の吉沢（右）と赤間　©Asami Enomoto／JMPA

　そんな彼女は4年後のロサンゼルス五輪における女子ストリートの有望株・松本雪聖を自身がサポートを受けるボードブランドチームに招き入れ、経験の浅い後輩をサポートするまでに成長した。後輩の支援までできる精神的余裕は、当然、自らの滑りにも好影響を与えてくれることだろう。

　ひょっとしたら4年後は、赤間のサポートを受け、背中を追い続けてきた選手が新時代を告げてくれるのかもしれない。