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堀米雄斗「大逆転劇」の裏側で…154cmの世界ランク1位が“まさかの予選落ち”　小野寺吟雲（14歳）「敗北の真相」とそれでも感じた「無限の可能性」

posted2024/08/02 11:02

text by

吉田佳央Yoshio Yoshida

photograph by

Asami Enomoto／JMPA

　どんなスポーツにおいても、栄光の裏には必ず影があり、そこには称賛されるべきグッドルーザーがいる。

　パリオリンピックのスケートボード男子ストリートにおいて、世界ランク1位で臨んだ小野寺吟雲(ぎんう)。本来ならば決勝の舞台でメダルを争っていたはず――。そう考えていた人は多いだろう。かくいう筆者もその一人だ。

　ただ、そこで彼を待っていたのは予選敗退という信じがたい結果だった。

　正直に言えば、成績の安定感なら出場した日本人選手3人の中では一番だと思っていた。新世代らしく、ひと昔では考えられないようにクルクルとボードをゲームのように回す様は圧巻の一言。

　彼ならほぼ間違いなく決勝には上がってくるだろう。むしろ優勝するためにどういう戦略で臨んでくるのかの方に注力していた自分にとって、明らかにいつもと様子が違う彼の1本目のランを見て不安がよぎった。

　コース外に出る時に少しフラフラしている様子を見せていた彼は、戻って座り込むと同時に父親から頭と首元を冷やされ、西川隆監督は扇風機を当て続けていた。その時に「もしや熱中症か？」と思ったのだが、その予想は見事に的中した。

　多くのファンには2本目のランをフルメイク（※全てのトリックを成功させること）したことで立て直したように見えたかもしれない。だが、筆者の目には本来の出来からすれば程遠いように見えた。

　その理由は、セクション（障害物）や流れは違うものの、ランの中に同じトリックを3度も組み込んでいたからだ。しかもそれはバックサイドキックフリップという小野寺の最も得意とするトリック。テレビ解説も「またバックサイドフリップ」と思わず口にしていた。

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