サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
日本代表“5-0の完勝”はナゼ? 2ゴール・三戸舜介に離脱した半田陸が贈った“ある言葉”「TV中継には映らなかった」パラグアイ戦舞台ウラ
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2024/07/25 17:42
現地7月24日のパラグアイ戦で5-0の快勝を収めた日本代表
オーバーエイジ“なし”も結束の要素に?
そして、チームの結束が強まっている理由はそれだけではない。今回の日本は、パリ五輪出場の16カ国でただ1つ、24歳以上のオーバーエージ(OA)枠を使っていないチーム。他チームのOA選手には、アルゼンチンのW杯カタール大会制覇に貢献したアルバレス(マンチェスター・シティー)や、カタールW杯ベスト4入りの原動力となったモロッコのハキミ(パリ・サンジェルマン)らがいるが、日本は全員が23歳以下だ。
7月3日のパリ五輪代表発表でOA選手がいないことが決定した際には、戦力不足を憂う声が噴出していたが、U23アジアカップを制し、アジアチャンピオンとしてパリ五輪に出場している選手たちにとっては、心外な声であるだろう。
キャプテンのMF藤田譲瑠チマは「外部でどう言われているのか正直、知りませんが、この試合をきっかけに応援してくださる方が多いと思う。そういった中で自分たちのプレーをしっかりと見てもらって、自分たちも楽しめたらいいなと思います」と淡々と言った。抑揚の少ない口調であることが、内に秘める反骨心を表しているようだった。
ミックスゾーンで選手たちは顔を引き締めていた
ミックスゾーンには大岩剛監督もいた。この試合は試合後の監督会見がなく、パラグアイ指揮官もミックスゾーンで記者に対応していた。
大岩監督は「オリンピックで1試合を終えて、次の試合のことしか頭にない。選手にも中2日であるということを再認識してもらって、しっかりと向かっていくだけ」と表情を引き締めた。
実は、5-0の大勝でも、選手たちこそ笑顔一辺倒というわけではなかった。中2日で行われる一次ラウンド第2戦に気持ちが向いていたからだ。
日本と同じD組の裏カード、マリ対イスラエルは1-1の引き分けだった。これにより、日本は第2戦のマリ戦に勝てば決勝トーナメント進出が決まる。マリは3月の国際親善試合で1-3で敗れている相手。だが、結束力を強めている今の大岩ジャパンにとっては、一度負けた相手に二度と負けないという反骨心は大きな武器になる。
藤田は記者の質問にひとしきり答えると、「もういいですか」と自ら切り上げ、取材エリアを後にした。その背中に、決勝戦まで計6試合をやりますから、という覚悟めいたものが浮かんでいた。