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「本当に素晴らしい」パリ五輪世代“アンリ監督の本音評価”をフランス語で聞いた取材記者、驚く「なでしこもフォロー」「我々に問題を…」
posted2024/07/23 17:34
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Koji Watanabe/Getty Images
前半ラスト20分は後退を余儀なくされた
「日本は本当に素晴らしいチームだった」
フランスU-23代表監督を務めるティエリ・アンリの言葉である。
「本大会前の最終戦の相手が日本でよかったのか?」
1-1の引き分けに終わったU-23フランス代表対U-23日本代表戦後のこと。フランス人記者の質問に、アンリはこう答えている。
「もちろんだ。ポゼッションやプレッシングのレベルにおいてそうだ。われわれは得点機会も数多く作り出せたし、1対1のチャンスも何度も作り出せた。ただ、この日本代表は、あらゆる面において本当に強かった。だがその相手に幾度も得点チャンスを作った。彼らは走り回りわれわれのプレーを遮断した。最初の20分間はわれわれが彼らをコントロールした。後方からプレーを構築しながら。しかし前半のラスト20分は後退を余儀なくされた。本当に素晴らしいチームだった」
フランスは日本戦を、1カ月にわたる合宿と3試合の強化試合の総決算と位置付けていた。いずれも五輪本大会に出場するパラグアイを4対1、ドミニカ共和国に至っては7対0と粉砕したフランスにとって、日本戦は本当の意味での手強い相手との、本番前の最後のテストであった。
日本を発つ前に、テレビでU-23フランス対U-23ドミニカ戦を見ることができた。何が違うと言ってプレーのレベルが違う。強度とスピード、そして組織力で、フランスはドミニカを圧倒した。
印象として重なったのは、今年1月1日に東京・国立競技場でおこなわれた日本対タイ戦だった。タイの立場からすれば、日本の強さはよくわかっている。何が長所で、どこにつけ入る隙があるかも。しかし実際に対戦してみると、相手のレベルに圧倒されてやるべきことが何もできない。結果は5対0の完敗。U-23フランス代表に対するU-23ドミニカ代表も、タイ代表と同じ轍を踏んでいるように思えた。
木っ端微塵に粉砕されるのでは、と思ったが
日本もこのU-23フランス戦で、木っ端微塵に粉砕されるのではないか。
そうなった方がむしろいいと思っていた。