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日本代表“5-0の完勝”はナゼ? 2ゴール・三戸舜介に離脱した半田陸が贈った“ある言葉”「TV中継には映らなかった」パラグアイ戦舞台ウラ
posted2024/07/25 17:42
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Takuya Kaneko/JMPA
試合終了から1分も経っていないくらいだった。ミックスゾーンに真っ先にやって来たのはパラグアイのMFフリオ・エンシソだった。「パラグアイの宝石」と呼ばれる彼は、三笘薫のブライトンの同僚でもあり、本来ならば今頃は日本で親善試合をしているはずだったが、ブライトンの会長に直訴してパリ五輪に出場している。
燃える気持ちを日本戦にぶつけるはずだったがまさかの0-5。それでもパラグアイメディアの質問に対して真摯に答えている様子は近くで見ていてよく伝わった。そして、「僕たちは立ち上がらなくてはならない」と険しい表情で取材エリアを去っていった――。
「余裕すら感じさせた」4人の選手
パリ五輪が始まった。U-23日本代表は一次ラウンド初戦で南米予選1位のパラグアイと対戦し、5-0で完勝した。前半19分にMF三戸舜介が先制点を奪い、後半も18分に三戸が追加点を挙げると、その後は日本がゴールラッシュ。MF山本理仁の得点で3-0とし、さらには途中出場のFW藤尾翔太が2点を加え、終わってみれば大量5点を奪って勝ち点3を手にした。銅メダルに輝いた1968年メキシコ五輪以来56年ぶりのメダル獲得に向け、最高の白星スタートだ。
パラグアイの選手が次々とミックスゾーンを通過していった後、少し遅れて日本の選手たちも取材エリアにやって来た。どの選手も誇らしげだった。
三戸の先制ゴールが生まれた場面、ペナルティーエリア内で相手DFを背中でブロックしてシュートコースを作るように体を張ったFW細谷真大は、「いいところで舜ちゃんがもらえていた。舜ちゃんの良さはパンチ力のあるシュート。うまくCBを抑えることができて、いい形で打ってもらった」と“陰のアシスト”に胸を張った。
先制点の起点となるパスを左サイドバックの大畑歩夢に出したFW斉藤光毅は、「歩夢とはああいう形で練習でも出来ているので、それを本番で出せたというのがポジティブな部分かなと思っている」と、親しみのある笑みをこぼしていた。斉藤は日本の5得点中3得点に絡む大活躍だった。
それにしても、やりたいことがすべて詰まった先制ゴールだった。大畑に裏抜けのパスを送った斉藤、ポケットの深い位置へ進入して敵陣を崩し切った大畑、折り返しのパスを収めて冷静にシュートを打った三戸、相手DFを背中でブロックして三戸をフリーのままにさせた細谷。4人の息の合ったプレーは余裕すら感じさせるものだった。