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「退場後も(西尾)隆矢は謝りながら…」“おとぼけ+響く声の主将”藤田譲瑠チマ22歳が語るパリ世代の団結「一緒に戦ってきた仲間のために」
posted2024/07/24 17:22
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
Mutsu Kawamori
五輪初戦スタジアムで「ただ歩いてたというか…」
パラグアイ戦2日前の正午、大岩ジャパンの面々は初戦を戦うヌーボ・スタッド・ド・ボルドーを訪れた。
スタジアムのピッチやロッカールームに慣れるため、大会側から公式に与えられた時間だ。先頭を切ってピッチに姿を現したのは藤田譲瑠チマだった。
センターライン沿いにひとりでゆっくりとピッチ中央に向かい、まるで試合当日をイメージしているかのようにスタンドを見回した。数秒間ピッチに佇んだ藤田だったが、ここで誰もピッチに出てこないことに気づき、引き返してようやく出てきた仲間と合流。集合写真撮影などを行ない、スタジアム訪問は終了した。
初戦を戦うスタジアムを確かめたことで、実感がわくのでは――そう尋ねると「特にはないですね。自分はいつも頑張っているつもりなので、(大会は)その延長戦のつもりでいます」と、拍子抜けするような答えが返ってきた。ひとりでひと足早くピッチを確認していたことに関しても、
「自分、(芝のコンディション確認など)そういうのわからないので、ただ歩いてたというか。みんなはロッカールームを見ていたみたいで……」
そう言って笑わせた。いかにもスタジアムの芝と雰囲気を噛み締めているかのように見えた光景は、こちらの思い過ごしだったようだ。
アジア王者として五輪に行く。そこに意味がある
そんな、少しとぼけたような一面もある藤田だが、五輪出場は金メダルへの想いと直結すると言い切る。藤田は五輪事前合宿のためマルセイユ入りする直前、所属するシント・トロイデンの合宿地オランダ・アーネムでインタビューに応じ、その想いを語ってくれた。
「やっぱりオリンピックは優勝を目指してやりたいです。自分たちは優勝したU-23アジアカップ(パリ五輪予選を兼ねていた)でも、相手の戦い方によって自分たちの戦い方を少しずつ変えてきたけど、ベースにあるアグレッシブにサッカーすることっていうのは変わらずできたと思います。そういったものを出しながらオリンピックを戦えたらいいかな、と」
その五輪優勝への想いはU-23アジアカップ以前から抱えていたものだとも明かす。