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「藍君も来ました」“最強リベロ”佐野優子はなぜ“人気クレープ屋”へ転身した? 五輪メダリストの第二の人生「バレーと一緒でなかなか極めきれない」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2024/07/24 11:03
京都・嵐山でクレープ屋を営む元バレーボール日本代表・佐野優子(44歳)
ガレット店で働いてわかったのは、ガレットの生地は焼くのに時間がかかるということ。佐野はテイクアウト専門店を想定していたため、ガレットではなく、短い時間で焼けるクレープに変更し、2021年10月に開店した。
「とりあえずスタート切っちゃえと思って。最初はいろいろつまずきましたけど、ありがたいことにみんなが顔を出してくれたりして、なんとか持ちこたえました」
元チームメイトや現役選手も訪れる。店には女子日本代表の井上愛里沙や、男子日本代表の高橋藍のサインがある。
高橋塁・藍兄弟は開店まもない時期に、母とともに突然ふらっと訪れた。2人は京都出身で、母は佐野と同じ北嵯峨高出身という縁がある。
「大雨が降っていた日で暇だったので、めっちゃ気を抜いていた時に、藍君と塁君とお母さんがパッとお店に来てくれて、ビックリしました(笑)。初めましてだったんですけど、お母さんが北嵯峨だったという話は少し聞いていたので、北嵯峨話をしたりして。お母さんは『私もバレー部入ってたらよかったなー』なんて話していましたね。
藍君はこの間も密着取材を受けながらこのあたりの商店街をぶらぶら歩いていて、お店にも寄ってくれたんですけど、めちゃくちゃ体が大きくなっていたので『すっご!』とビックリしました」
「嵐山に来たら絶対に寄りたいお店に」
店は軌道に乗ったが、「まだまだこれから」と満足していない。
「改善の余地がたくさんあるから、それが面白くて。もうちょっと安定させたいし、リピーターさんが増えたらすごく嬉しい。『嵐山に来たら絶対寄りたい』と思ってもらえるようにしたいんです。
やり始めたら、極めたくなる。お店もバレーと一緒で、なかなか極めきれなくて、もがきながらやっているのが、続けられている要因かなと。お店が初年度からうまく行っていたら、今頃飽きてそうですけど(笑)。ちょっとずつ変化を加えながらもがいているほうが達成感を得られる。なかなかうまくいかないですけど、だから今、面白いです」