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「MVPは今永昇太」MLB投手前半戦を五十嵐亮太が徹底総括!「ドジャースの山本由伸獲得は正解」「敢闘賞に挙げたい松井裕樹、その理由は…」
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五十嵐亮太Ryota Igarashi
photograph byGetty Images
posted2024/07/16 17:08
MLBオールスターに選出されたカブスの今永昇太。7勝2敗、防御率2.96の成績で五十嵐亮太氏が前半戦の日本人投手MVPにあげた
これら挑戦の道筋を、本人もコメントではっきりと口にしている。何をやりたいのか、次にどうするのか、というところが分かりやすいから、見ていてすごく面白い。シーズン前からはっきりとした“地図”を携えてビジョンを描いていたこと。最初に結果を出すことで、リスクもある新しいことに取り組めるだけの立場を築き上げたこと。そして思うように結果が出なければ、じゃあ次はこれを試そう、これをチョイスしてみたらどうなるだろう、という選択肢が多かったこと。その全てが素晴らしかった。
彼の言葉には嘘がなく、人間性やプレースタイルというところが一貫して「今永昇太」であるということろが本当に魅力的だと感じます。後半戦、彼がどのように変化していくのかも含めて目が離せない存在です。
ドジャースは山本由伸を獲得して正解だった
◼️山本由伸(ロサンゼルス・ドジャース)
14試合6勝2敗、被本塁打6、奪三振84、自責点24、防御率2.92、WHIP1.07
“地図”という点で言えば、山本投手もその道筋を早い段階で用意していたと思います。まずはNPBで敵なしだった本来の自分のピッチングで入ってみるというスタンスだったと思いますが、キャンプでの取り組みという点では今永投手に比べてあまり明確ではなかった。セットポジションの位置を変えるなど試行錯誤していましたが、色々な意見を聞きながら、という面が大きかった分、少し出遅れてしまったのではないでしょうか。
韓国で行われたパドレスとの開幕戦では1回5失点と躓きましたが、その後少しずつ立て直していった。彼の場合は持ち球が多いので、抑え方のバリエーションも多い。彼のピッチングの良さは何か、キャッチャーが把握して活かせる段階に行くまでは時間を要しましたが、登板を重ねるごとにカーブの使い方やスプリットもどんどん良くなり、山本投手のコントロールでボールを扱えるようになってきたことで結果もついてきました。
特に6月7日のヤンキース戦のピッチング(7回2安打無失点)は平均スピードも高く、これが本来の山本由伸だというような圧倒的なものを見せてくれました。ドジャースは彼を獲得して正解だったということを証明できたと思います。最後はスライダーを投げるなど余裕も出てきて、その先の変化も感じさせてくれるものだっただけに故障は本当に残念です。「右肩けん板損傷」ということで離脱していますが、まずは治療に専念して万全な状態で戻ってきてくれることを願っています。
「敢闘賞」に挙げたい松井裕樹
◼️松井裕樹(サンディエゴ・パドレス)
43試合3勝2敗、8ホールド、被本塁打2、奪三振40、自責点17、防御率3.79、WHIP1.31
「敢闘賞」に挙げたいのは松井投手です。勝ち試合からビハインドの場面まで幅広いシチュエーションで起用される中、本当にタフに投げ続けてきました。環境が変わり、ボールが変わり、マウンドが変わる。移動の距離など様々な変化の中で、どんな状況もものともせず怪我もしなかった。一度もブルペンから外れることなく投げ続けられたのは素晴らしいことです。