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「MVPは今永昇太」MLB投手前半戦を五十嵐亮太が徹底総括!「ドジャースの山本由伸獲得は正解」「敢闘賞に挙げたい松井裕樹、その理由は…」
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五十嵐亮太Ryota Igarashi
photograph byGetty Images
posted2024/07/16 17:08
MLBオールスターに選出されたカブスの今永昇太。7勝2敗、防御率2.96の成績で五十嵐亮太氏が前半戦の日本人投手MVPにあげた
彼の一番の良さは真っ直ぐです。タイプ的には今永投手のように、まっすぐ高めを見せながらフォークなど変化球をどれくらい振らせるか、という抑え方をしている。さらに最近のピッチングを見ていると、コントロールをすごく意識していて高さも絶対に間違えないような安定した投球を見せています。実際に対戦する中で得た感触を生かし、自身の投球スタイルにうまく反映させているのでしょう。
後半戦では勝ちパターンでの起用が増えるはず
楽天では抑えをやっていました。クローザーは難しさもあるけれど、準備のプロセスというのは比較的難しくないんです。登板する展開は決まっていますし、最終回から逆算すれば肩も作りやすいですから。アメリカに行き、今度は一からのスタートとなりました。どこで投げるかも分からないし、肩の作り方やコンディション回復の方法なども手探り状態だったと思います。何よりメンタル的に凄く疲れが溜まったと思いますが、そんな中でも前に進み、体が小さくてもしっかり投げ続けているのは素晴らしい。がむしゃらさがあって、どこでも行きます! というような姿勢を見ているとこちらも元気をもらえます。
今後は徐々にいい場面で投げることが増えてくると思います。抑えのロベルト・スアレスはしっかりしているので、松井投手が7回、8回の勝ちパターンで使われ出すと彼のいいものがより引き出されるはず。後半戦はそこに期待しています。
上沢直之はどうスタイルチェンジしていくのか?
◼️上沢直之(ボストン・レッドソックス)
2試合0勝0敗、自責点1、奪三振3
上沢投手はキャンプの時に話を聞きました。レイズからのスタートでしたが、当時はスプリットの変化について、握りや角度、どのような落とし方をすれば通用するのかということを凄く熱心に取り組んでいたのが印象的でした。日本にいる時はそれほど比重が大きくなかった球種ですが、メジャーの打者に対してどうすれば武器になるのかモチベーション高く研究していた。
もちろんメジャーで活躍するというのは大事ですが、たとえマイナーでもどんな時間を過ごしたかというのは野球選手にとってすごく貴重なことだと思います。レッドソックスとマイナー契約を結び直し、メジャーを目指す戦いが再び始まります。今は苦しい立場だと思いますが、日本で味わえないことを体験してステップを踏むことは野球人生でとても大きな意味を持つと思います。今後上沢投手がどうスタイルチェンジしていくのか、どんな姿を見せてくれるのかをとても楽しみにしています。