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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「ファンがマウンドに立っている」ルーキー、DeNA石田裕太郎の「人生を変えた決断」…「西舘を見て、自分はこれじゃやっていけないなって」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2024/07/15 11:04
昨年のドラフト当日、巨人から1位指名された同期の西館勇陽(左)と石田
だが、まだまだシーズンは長い。バッテリーを組む前出の山本祐大は「ここまで4試合しか投げていませんし、先日(7月9日)の中日戦では少しずつ研究されていると感じたので、これからが勝負ですし、僕としても引き出しを増やしてあげたい」と語っている。もちろん石田もそのつもりだ。
「当然研究はされてきているでしょうから、そこで自分が更に上に行くようにしたい。するとまた向こうも対策してくるでしょうし、それを繰り返すのが野球だと思うので、そこも楽しみながらやっていけたらという感じですね」
夢を現実にするために
思えば石田は2002年生まれだ。ベイスターズが最後にリーグ優勝と日本一を成し遂げたのは1998年なので、もちろんファンとして歓喜の渦に巻き込まれたことはない。だが首位争いをしている現状を考えれば、今季、ファンとしてではなくプレーヤーとして美酒を浴びる機会が訪れるかもしれない。石田は少しだけ頬を紅潮させて言うのだ。
「本当に手が届くと思いますし、打線も投手力も日本一になれる力はあるはずなので、そこで自分が少しでも戦力になれればいいなって思っています。本当に……体験してみたいですね」
語尾に力が入る。ひとりのファンが、敬愛するチームに所属し、優勝や日本一に貢献する。ぜひ、その物語のような歓喜のシーンを見てみたいと思っているファンは多いはずだ。今、幸せですか、と石田に尋ねると、口角を上げ力強く頷くのだ。
「はい。めちゃくちゃ幸せです。ユニフォームを着てマウンドで投げさせてもらっているだけで感謝していますし、その姿を家族に見てもらえるのは本当にうれしいことです。本当、先ほども言いましたが、15年以上は怪我なく、一度も離脱することなく、このチームで自分の仕事をしていきたいと思います」
これからきっと山もあれば谷もあるプロ野球生活だろうが、そう希望を抱き明るい表情で語る石田が長きにわたり、夢だった場所で次々と夢を実現していく姿を見ていきたい――。
<第1回とあわせてお読みください>