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西武がシーズン100敗ピンチ、深刻な不振と「vsロッテ11連敗」のナゼ…「1勝18敗、勝率.053」過去の同一カード最悪成績は半世紀以上も前
posted2024/07/16 17:32
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS
埼玉西武ライオンズの不振が深刻になっている。7月も半ばを過ぎようとしているが、今月はまだ1勝(9敗)、15日時点でまだ2勝(9敗)、通算でも25勝56敗1分、勝率.309まで落ち込んでいる。
現在につながるプロ野球が誕生して今年で90年、当初は戦力格差が大きく強豪チームの圧勝が多かったが、次第に戦力均衡が進み、1965年にドラフト制度が導入されて以降は大勝ちする球団も大負けする球団も少なくなっている。
勝率7割を記録した球団は1955年の巨人(勝率.713)、南海(.707)を最後に出ていない。同様に大負けする球団も少なくなった。
シーズン100敗は一度だけ、創設1年目の楽天は97敗
〈NPBの球団敗戦数ワースト5〉
1961年 近鉄140試36勝103敗1分率.261
1955年 大洋130試31勝99敗0分 率.238
1956年 高橋154試52勝98敗4分率.351
1955年 トンボ141試42勝98敗1分 率.300
2005年 楽天136試38勝97敗1分率.282
NPBの歴史で100敗したのは1961年の近鉄バファロー(ズはつかなかった)だけ。次いで55年の大洋ホエールズが99敗、56年の高橋ユニオンズと55年のトンボユニオンズが98敗。ユニオンズは1954年から3年間だけ存在したチーム。「史上最弱球団」と言われるが、プロ野球ニュースで一世を風靡した佐々木信也がプレーしたことで知られる。
2005年の楽天は、創設1年目。この年にオリックスと合併した近鉄から分配ドラフトで入団した選手を中心に構成された。寄せ集め球団のため一時は100敗するかと言われたが、辛うじて97敗で踏みとどまった。
なお勝率では、1955年の大洋の.238(130試31勝99敗0分)が最低だ。
今年の西武が勝率でワーストになる可能性はそれほどないだろうが、143試合と試合数が多いので、引き分けがないとすれば残り61試合で18勝(43敗)以上の成績を上げないと史上2球団目の「シーズン100敗球団」になる。19勝43敗は、勝率.306であり現在の勝率3割ちょうどを上回っている。
ライオンズの史上最低勝率は1971年、西鉄時代の38勝84敗8分、勝率.311だった。また最多敗もこの年の「84」だ。この年の監督は大投手稲尾和久、西鉄ライオンズはこの時期、選手の賭博、八百長事件が勃発した「黒い霧事件」に揺れていた。73年には太平洋クラブに身売りしている。
2024年の西武ライオンズが、この記録を下回るとすれば、歴史的なことだといえよう。
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