- #1
- #2
ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「ファンがマウンドに立っている」ルーキー、DeNA石田裕太郎の「人生を変えた決断」…「西舘を見て、自分はこれじゃやっていけないなって」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2024/07/15 11:04
昨年のドラフト当日、巨人から1位指名された同期の西館勇陽(左)と石田
「自分としては、15年以上は第一線のプロ野球選手としてやっていきたいという目標が以前からあるんです。そのためには東(克樹)さんのような、常にクオリティースタートできる安定感のあるピッチングを目指していくことが一番の近道じゃないかと考えています。とにかく息の長い選手になることを目標にこれまで地道に野球をやってきたので、陰ながらベイスターズを支えていきたいと思っています」
ずいぶん謙遜した様子で石田は語ったが、確かにその口調からはガツガツとした匂いは感じられなかった。もっと強欲になってもいいじゃないですか、と石田に言うと「いやいや」とかぶりを振った。あくまでも目指すのは、脇を固める息の長いバイプレーヤーだという。
今の活躍は「誤算」!?
「順位は関係ないのかもしれませんが、そういう意味ではドラフト5位で良かったなって思うんですよ。もちろん1位指名されたいと思って大学に行きましたけど、西舘を見て、こういう選手がスターになるんだなっていうのを肌で感じましたし、自分には自分の役割があるんじゃないかって」
そう言うと、含みを持った顔で石田は続けた。
「ドラフト5位で選んでいただいて……たぶん誤算だと思うんですよね、ここまで勝っているのは」
石田は笑いながら言った。いや、そんなことはないでしょ、と伝えると、石田は間髪入れず返すのだ。
「いや、僕がファンだったらきっとそう思いますからね」
ここに来て冷静にファン目線で語るとは……。足るを知るというか、自己評価があまり高くないというか、非常に面白い選手だと思わずにはいられない。