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甲子園の風BACK NUMBER
「大谷から『城間のコントロールが欲しい』と言われて…」U18日本代表で同部屋に 甲子園準優勝の城間竜兵(29歳)が見た「素顔の大谷翔平」
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by(L)JIJI PRESS、(R)Getty Images
posted2024/07/12 11:01
大谷翔平とともに2012年のU18世界大会に選出された城間竜兵(左)。韓国遠征中の同部屋で見た大谷少年の素顔とは…?
4番DHで試合に出場することになっていた試合の前夜。さあ寝ようと電気を消すと、隣から何やら怪しい声が聞こえてきたという。
「大谷が何かずっとブツブツ言っているんです。何を言っているんやろうと聞いていたら『絶対打てる、絶対打てる、絶対打てる』って唱えていたんです。あの時は“怖っ!”と思って、思わず大谷に『何言ってるん?』って聞いたんです。そうしたら『これを言ったら、自分に暗示じゃないけれど打てるんよ』って言われて。
『どうやろ、打てへんかったりして』って冗談を言ったら『やめてくれよ』って言われました(笑)。実際、試合では打っていましたけれど。自己暗示じゃないですけれど、そういうところから自分をコントロールして、自分を信じながらモチベーションを上げていたんでしょうね。ルーティンだったのかも知れないですけど」
「こういう選手がプロに行って活躍するんやろうな」
当時の高校日本代表でも日本から多くのメディアが帯同し、大谷の一挙一動から目を離すまいと常にカメラが大谷の姿を追っていた。過熱していく注目度にも「テングになるようなそぶりは一切なかったです」と振り返る。
何より、印象深いのがキャッチボールだった。
「先発する試合前に一度キャッチボールをした時、ボールの強さはそこまですごく感じなかったんです。え、これくらいの力なんやって気を抜いていて、試合開始直前のピッチング前にもう一度キャッチボールをしたら、ボールを受けた時の衝撃がものすごくて。球は速いし強いし、痛いんですよ(苦笑)。もう、ドーンってくる感じでした。受けたのはキャッチャーミットではないので、手がしばらく痛くてしびれました」
その試合では3ボールとカウントを悪くしても、ストライクを取りに行った球が155kmをマークするなど投げるたびに度肝を抜かされた。
「いやいやいや……ってなりましたよ(笑)。あの頃の僕のストレートは最速142km。こういう選手がプロに行って活躍するんやろうなって思いました」