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野球クロスロードBACK NUMBER
「いまの彼は次元が違い過ぎる」大谷翔平から“あの”ポール際ホームラン…盛岡大附→三菱重工West・二橋大地が語る「打者・大谷」のとてつもなさ
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2024/07/09 11:05
今季から三菱重工East→Westに移籍し、心機一転の活躍を期す二橋大地。強打者でもある二橋から見る「打者・大谷翔平」の凄みとは?
それまで丁寧な言葉遣いだった二橋が、無邪気に衝撃を口にする。
「京セラ(ドーム大阪)で試合をしたことがあるんでわかりますけど、ボールをしっかり捉えてもあそこまで飛ばせないっす。しかも、片ひざ着いたあんな体勢で……あれはエグイっす!」
今では「一ファンです」と公言するように、二橋にはメジャーリーグでもスーパースターとなった男に近づきたいといった願望はない。
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欲があるとすれば、ひたすらバットを振り、もう一度、社会人野球で花を咲かせようとする、「ピッチャー・大谷」を打ち崩した高校時代のような貪欲さである。
二橋は原点回帰に励んでいる。
今年、昨年まで7年間、プレーした三菱重工Eastを離れ、兄弟チームである三菱重工Westへ移籍した。当初こそ4番バッターとして試合で起用されていたが、二橋いわく「自分でも納得せざるを得ないほど打てず」と現在はその重責から外され、ポジションを奪い取るため、しゃにむにボールを打ち込む。
「これまでは結果が欲しくてこぢんまりとしたバッティングになっていたんで。自分はもともと長打を売りにしているバッターですし、ホームランを打てるようなスイングにするために取り組んでいる最中です」
「秋以降はめっちゃ打つんで」
またノーステップ打法に挑戦するのではないか? と向けると、二橋は「いやいや、そうじゃないです。記事にならなくてすみません」と笑いながら気遣う。
そして、高校時代の恩師である関口が太鼓判を押す「努力の男」は、真剣な目で誓う。
「秋以降はめっちゃ打つんで。楽しみにしていてください」
大谷から打った、高校生活最後のホームランボールは今、実家にあるという。
岩手県高野連から手渡されたときと同じ茶封筒に入れ、ボールケースに収納している。それをリビングなどに飾っているわけではなく、家のどこかに保管されているそうだ。
大谷がどれだけ偉大な存在になろうと、あの夏から心は何も変わっていない。
自分は自分。大谷は大谷。
二橋大地は、我が道をゆく。