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野球クロスロードBACK NUMBER
「いまの彼は次元が違い過ぎる」大谷翔平から“あの”ポール際ホームラン…盛岡大附→三菱重工West・二橋大地が語る「打者・大谷」のとてつもなさ
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2024/07/09 11:05
今季から三菱重工East→Westに移籍し、心機一転の活躍を期す二橋大地。強打者でもある二橋から見る「打者・大谷翔平」の凄みとは?
二橋の懐をえぐるように切れ込む148キロのストレートを引っ張った打球が、放物線を描きながらいつもと同じ方向へ吸い込まれた。当時は「ファウルではないか?」と疑問視する声も多かったが、関口はそれが「二橋らしいバッティング」だとわかっている。呼応するように、チームメートも「大谷のボールを完璧に打ったあいつの勝ちです」と、今でも淀みなく肯定するのである。
「それ、結構みんなから言ってもらえるんです。あの当時はファウルみたいに言われましたけど、高校を卒業して何年も経つとそんなこと言われることもなく。初めて会った方も、僕の名前を知らなくても『ポール際の』で覚えてくださっていますし、テレビとか雑誌で取材していただいても『まだ野球を頑張ってます』と紹介してくださって。ありがたいことではあるんですけど、スーパースターの大谷選手のエピソードとして僕が出してもらえること自体、おこがましいというか」
いまの大谷は「次元が違い過ぎる」
長距離バッターとしての立ち位置を確立した二橋は、盛岡大附を卒業後、東日本国際大、三菱重工Eastとプレーするステージを高めた。恩師の関口が言っていたように「バット一本」で生きる道を開拓してきたわけだが、そんな求道者だからこそ痛感させられる。
大谷は次元が違い過ぎる、と。
21年に46ホームランを記録してアメリカン・リーグでMVPを獲得。昨シーズンには44本ものビッグフライを描いてアジア人初のホームラン王に輝いた。その「バッター・大谷」がメジャーリーグ屈指のスラッガーとなる技術的要素のひとつに、アメリカ1年目のバッティングフォーム修正がある。
ツーシームなどの変化球を駆使し、日本人以上にバッターの手元でボールを動かしてくるメジャーリーガーに対応するべく、大谷の表現を用いれば「右足の動きを省いた」。日本ハム時代まではタイミングを取るために右足を上げていたが止めたわけだ。それが今日のノーステップのような形へと変化を遂げている。