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「それって、野球はできますよね?」名門ボーイズ選手を襲った“骨肉腫”という病…慶大&関大の野球部主将が振り返る「チームメイトとの物語」
posted2024/07/05 17:02
text by
清水岳志Takeshi Shimizu
photograph by
(L)JIJI PRESS、(R)Takeshi Shimizu
642メートルの生駒山は大阪府と奈良県境にある。山頂に立つテレビ塔は大阪市内からでも確認できるシンボルで、神社があったり遊園地もあって、府民・県民に親しまれている山だ。
生駒山を含む生駒山地の北側に大阪と奈良を往来するための阪奈道路がある。かなりの勾配があって、大きなカーブもある幹線だ。この道路からわき道を入っていくと、中学硬式野球チーム・生駒ボーイズのグラウンドがある。
今年の春の大田スタジアムで行われた54回日本少年野球春季全国大会で準優勝を果たした。夏の日本少年野球選手権大会に過去9回出場し、1回の優勝を遂げている名門チームである。今年も予選を勝ち抜き、10回目の出場を決めている。
2005年創立、今年の4月に22期生を迎え入れている。他に何十年と歴史を重ねるチームもあるし、もっと新しいチームもあって、歴史としては中堅といったところか。各学年多くても20人前後だから強豪の割には少ない人数だ。
名門ボーイズに起こった「ある出来事」
このチームの13期生、音野峻也は今、東北福祉大4年生。
学生コーチとしてシートノックを打ち、バッティングピッチャーもする。時には主将や監督と話し合って試合のメンバーを決めたり、総括的に管理する役目を担う。
今から9年前、音野は中学1年生、チームに入団したばかりの5月、右膝に違和感を覚えた。
骨肉腫とは比較的よく耳にする病名だが、10代の思春期に膝や肩の周りに発症し、症例数で言えば年間200から300症例に過ぎない病気だ。わかり易くいうと骨のガンである。