核心にシュートを!BACK NUMBER
長谷部誠26歳「圭佑と同じ便なの、内緒にしてくれないかな」“移籍騒動渦中”の本田圭佑とドイツの空港で…清武弘嗣も憧れた“気遣い伝説”
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byEnrico Calderoni/AFLO
posted2024/06/09 17:00
2010年5月、イングランド戦の本田圭佑と長谷部誠。日本代表キャプテンになる前の、2人の秘話とは
「来シーズンどうなるかわからないけど、2部に落ちれば若手が中心になってきます。そういう若手が今、芽を出し始めている。彼らを大切にしないといけないのではないですか?」
なお、このタイミングでアントンという選手が頭角を現した。彼はその後シュツットガルトに移籍し、遠藤航のあとを継ぐ形で2023-24シーズンからキャプテンに就任した。そして今年3月に27歳にして初めてドイツ代表入りを果たし、EURO2024のメンバーにも選ばれた。そのストーリーは、清武が長谷部から受け継いだリーダーシップを想起させる。
長谷部がキャプテン前に語った「変えようという意識」
長谷部に話を戻そう。
2010年W杯の前、キャプテンマークが自分の左腕に来ると想像すらしていなかった時期に、こう話していた。
「今の代表には熱い気持ちを持っている人がすごく多いんだけど、あまり表に出さない選手が多い。『もっと気持ちを表に出せばいいのに』と思ったりはするけど、強制するものではないから。
もちろん、オレはそういうものを変えようという意識はあるよ。ただ、それは口で言うことではなくて、プレーで表すものだから。そこからみんなが何かを感じてくれたら……」
長谷部は、その頃からリーダーになる資質を備えていた。
彼がキャプテンを務めた81試合を通して我々が目にしてきたのは、「キャプテンシー」という言葉だけでは収まらない、偉大なる「リーダーシップ」だったのではないだろうか。
そのリーダーシップの尊さは、自身最後のW杯となったロシア大会で物議を醸したポーランド戦後の出来事などを振り返っても、そして今も日本代表に根づくマインドからもよくわかる。
<つづく>