ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
守備の痛恨ミス→登録抹消に「初めて野球が怖いと思った」DeNA蝦名達夫が頼ったのは「鈴木誠也」だった 今季スタメン定着、復活の真相
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/20 11:02
今季、一軍で活躍を見せる蝦名。昨季は42試合の出場にとどまっていたが、「どん底」と言える時間を過ごしたという
いかに自分自身を確立するか。鈴木の教えを学んだ上で、自分に求められるのは何かを考え、現在のスタイルを練り上げた。結果、一軍昇格後、蝦名は必死のプレーでチームにアクセントを与えている。
石井コーチからの評価
前出の石井コーチは、蝦名を次のように評価する。
「いい意味でモデルチェンジできたと思います。以前は一発があるところをチームに求められていたと思いますが、今は打率、出塁率を意識する中距離打者として存在感を示している。今の時代、二塁打をいかに稼げるかというのは大事なことですし、蝦名の場合は仮にシングルヒットでも、スチールでセカンドのシチュエーションは作れるので、まだ完成には至ってないですけど、自分のスタイルを突き詰めてもらいたいですね」
シーズンはまだまだ先が長くライバルも多いが、一昨年、蝦名の名を球界に知らしめた交流戦もいよいよ始まる。今後に向け、どのようにプレーしていこうと考えているのか。
「自分の中では手応えを感じていますし、一昨年のような勢いもあるので、これをいかに継続するかだと思います。一昨年は夏場に疲労が出て上手くいきませんでしたが、今は技術にしても考え方にしてもシンプルになっているので、大きく崩れることはないと思っています」
筒香さんの姿勢は参考になる
そして、改めてこう続けるのだ。
「どの打順を打とうが、まずは打線を引っ張っていきたいと思います」
秋には27歳になる蝦名に芽生えたチームファーストの想い。そんな時、DeNAに復帰した筒香嘉智の背中に大きな刺激を受けているという。蝦名は、筒香が渡米した直後にDeNAに入団した選手だ。蝦名があの値千金の同点弾を放った阪神戦で、筒香は決勝本塁打を放ち、二人は一緒にお立ち台に上がっている。
「筒香さんのチームを引っ張っていく姿勢は素晴らしいと思いました。グラウンドではもちろん、ベンチでもめちゃくちゃ声を出してチームを鼓舞する様子は、本当に参考になりますね」
偉大な先輩のように蝦名がチームに欠かせない存在になれるかなれないかは、ここからが勝負だ。身長185cmの大型リードオフマン。昨年、辛酸を嘗めた寡黙な男が見せるプレーと生きざまに、これからも刮目していきたい。