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守備の痛恨ミス→登録抹消に「初めて野球が怖いと思った」DeNA蝦名達夫が頼ったのは「鈴木誠也」だった 今季スタメン定着、復活の真相
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/20 11:02
今季、一軍で活躍を見せる蝦名。昨季は42試合の出場にとどまっていたが、「どん底」と言える時間を過ごしたという
「焦りは当然ありましたが、自分自身で結果を出していくしかない世界。悔しい思いを忘れずに自分と向き合っていくしかないんです」
何かを変えなければいけない――。
鈴木誠也に弟子入り
蝦名は自問自答し、自分の最大の持ち味はバッティングであることを改めて認識したという。では更なる進化をするためには、どうすればいいのか。そこで思い至ったのが「自分が目指している打撃スタイル」を持つ、鈴木誠也(シカゴ・カブス)の存在だった。
ゾーンを広くとらえ、どんなボールにも強いスイングで対応し率も残すことのできる日本を代表する強打者。思い立ったが吉日、蝦名は、広島時代に鈴木を指導したこともある石井琢朗チーフ打撃兼走塁兼1塁ベースコーチにお願いをして本人に連絡を取り、トレーニングを共にする了承を得ることができた。昨年12月の約1カ月間、マンツーマンで鈴木のエッセンスを吸収することになった。
蝦名から鈴木の連絡先を訊かれた時のことを石井コーチは次のように振り返る。
「じつは蝦名と誠也は似たような右の外野手でしたし、以前から一緒にやったら面白いだろうなって思っていたんです。そしたら蝦名の方から『連絡を取りたい』という申し出があって、しめしめと思いましたね」
そう言うと石井コーチはニヤッと笑った。
「元々、誠也も内川(聖一)から教えてもらって成長した過程がありますし、同じような効果があるんじゃないかって。誠也は気まぐれなところがあるんですけど、蝦名の現在のタイミングの取り方、力の入れ具合、バットヘッドの位置などを見ると、しっかりと教えてもらった感じですね」
マンツーマンの特訓、蝦名は「いや、鍛えられました」と苦笑いをしたが、充実した時間だったという。ティーバッティングを徹底的に重ね、鈴木の技術と考えを頭と体に染み込ませた。
「大きく言うと、タイミングの取り方、打つポイント、あとはいかに力を抜いてスイングするかの3つを学びました」
鈴木誠也からのアドバイス
目に見える大きな変化といえば、以前は構えてから2度引きのタイミングでバットを振っていたが、現在は一発でトップを作りシンプルにスイングしていることだ。