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守備の痛恨ミス→登録抹消に「初めて野球が怖いと思った」DeNA蝦名達夫が頼ったのは「鈴木誠也」だった 今季スタメン定着、復活の真相
posted2024/05/20 11:02
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
JIJI PRESS
「とにかく打線を引っ張っていきたい。そこにはこだわりを持っています」
横浜DeNAベイスターズの外野手である蝦名達夫は、真剣な表情でそう言った。
あの舞台に立つためにここまでやってきた
プロ5年目。自分のことばかりではなく、チーム全体のことを考えての力強い言葉。蝦名といえば、生まれてから大学まで地元青森で過ごした生粋の東北男である。とにかく真面目で朴訥とした人柄である蝦名が、声を大にして「チームを牽引したい」と覚悟を露わにした。その思いは今シーズン、確実に結果として表れている。
4月26日に一軍登録され、今季初出場となった29日の中日戦(バンテリンドーム)で代打から2打数2安打と上々のスタートを切ると、5月1日の同カードで5打数4安打と大爆発しアピールに成功した。さらに11日の阪神戦(横浜スタジアム)で、8回裏に7点ビハインドから同点となる値千金の2点本塁打を放ち、試合後、プロ入り初のお立ち台に上がった。
「いやもう最高でした。あの舞台に立つためにここまでやってきたので、やっと……という感じでしたね」
少しだけ笑みを浮かべ安堵するように蝦名は言った。活躍した者にしか見ることのできない熱狂が渦巻くハマスタの風景は心地よく、蝦名に更なるモチベーションを与え、現在は筒香嘉智とタイラー・オースティンが加わった超重量打線の先頭打者として気を吐いている。
怖さがとれなかったケガ
高い身体能力が持ち味であり、長打力と走力を武器にする蝦名は、3年目の一昨年、交流戦で打率.326といった結果を残すなどキャリア最多の61試合に出場し、一躍レギュラー候補に名乗りを上げた。
しかし主力になるべく飛躍が期待された昨季は、開幕直前に左内腹斜筋の肉離れで戦線を離脱。初めて痛めた箇所であり、リハビリは難航したという。