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大谷翔平はなぜ米男性ファッション誌の表紙を飾ったのか? 背景にあったアメリカ社会の「MLBがつまらなくなった」批判、ファン高齢化
text by
内野宗治Muneharu Uchino
photograph byNanae Suzuki
posted2024/05/14 17:02
アメリカの老舗男性向けファッション雑誌『GQ』スポーツ版の表紙を飾った大谷翔平。その背景を読み解くと「MLBの危機」があった
「野球本来の楽しさ」を体現する大谷の存在
こう書いていると、まるで野球というスポーツがディストピアに向かっているかのようだが、その反動かMLBは近年「古きよき時代(good old days)」を彷彿とさせる懐古趣味的なイベントをよく行っている。昔懐かしいレトロなデザインのユニフォームで試合を行ったり、野球のノスタルジア溢れる名作映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった球場で特別試合をしたり……古きよきものが失われていく時代にあって、野球に本来備わっていた魅力を何とか取り戻そうともがいているかのように見える。
そんななか、投げてよし、打ってよし、という「野球本来の楽しさ」を体現する存在として大谷が登場したのだ。『GQ』に掲載された記事と写真は、大谷を「古きよき時代を思い出させてくれる存在」としてプロデュースしているかのように見える。
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