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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「プレミアに移籍すると言い続けたら現実になった」ルートン電撃加入から3カ月…橋岡大樹、何が変わった?「とにかく残留したい。いや、します!」
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byYudai Emmei
posted2024/05/10 17:02
橋岡のいとこでもあるフォトグラファー延命悠大氏が撮影。英国での生活もすっかり慣れてきた
「いや、僕はチームの外にいた人間なんで、アジアカップでの戦い方について言うことはないですね。ひとつだけ言えるのは、自分のプレーをチームに還元したかったということ。でも、それができなかった。シンプルに、自分の力不足です」
妬まず、腐らず。最善の準備と心構えをして、チャンスが来る日を待つ。これが、初めて日本代表に選ばれたときから貫くスタイルだ。2021年10月、カタールW杯アジア最終予選でもそうだった。このとき橋岡は、アウェーでのサウジアラビア戦とホームでのオーストラリア戦に臨む日本代表に招集された。しかし、2戦ともベンチメンバーから外れ、スタンドから観戦した。
それでも練習では誰よりも声を張り上げ、全力でボールに食らいついた。試合後にはすぐさまピッチに降りて、スタッフの後片付けを手伝った。合宿中のある日、当時の正GK権田修一から言われた。
「俺もベンチ外の時期が長かったけど、今はこうやって試合に絡めている。気を落とさず、練習から一生懸命に手を抜かずにやることは大切だし、それが今後、絶対に生きてくるから。腐らず頑張れよ」
北朝鮮戦のピッチで光った“自信”
今年3月、橋岡は北中米W杯アジア2次予選の北朝鮮戦で日本代表復帰を果たした。日本が1-0でリードする後半29分、森保一監督に呼ばれた。同点ゴールを狙ってパワープレーにシフトした北朝鮮を、5バックにシステム変更して迎え撃つ。逃げ切り要員。橋岡が担ったタスクは明確だった。右ウイングバックに入ると、敵のサイドアタッカーにガツンと体を寄せて、クロスを許さない。逆サイドから飛んでくるクロスは、高くて強いヘディングではね返した。
ただし、プレミアリーガーは、それだけで終わらなかった。ボールを持てば、縦へ、縦へ、突き進む。そうやって、前に出たい北朝鮮を押し返した。
「やっぱり自信が大切なんだと思います。ルートンで、プレミアリーグで、普段から高い強度でやっているからこそ、北朝鮮戦でも自信を持ってプレーできた。失点しないことを最優先にしながらも、攻めるべきところでは思いきって前に出る。イングランドで一番成長したのは、そういうメンタルの部分なのかなって思います」
日本代表とルートンでは、戦術が大きく異なる。ミドルゾーンで守備ブロックを組むことが多い森保ジャパンに対して、ルートンは常に前に出て、相手を捕まえる。その違いに、戸惑いはないのだろうか。
「たしかに難しさはありますね。特にルートンの場合、敵陣ではマンツーマンでどんどんプレスに行くので。ただ、これは僕に限らず、全員の難しさだと思うんです。それぞれのクラブで戦術は違いますから、代表の活動期間は頭の中を擦り合わせて、共通意識を持たないといけない。それがスムーズにできたら、日本は本当に強いチームになると思います」