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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥がネリを撃破した勝負のポイント…じつは4Rの“挑発”にあった? 元世界王者・飯田覚士が驚いた2つの理由「いや、本当のモンスターですよ(笑)」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2024/05/09 17:02
ネリを6回TKOでくだした世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥。注目の一戦を元世界王者・飯田覚士氏が徹底解説した
5ラウンドのラスト30秒、ロープ際で再び左フックを顔面に叩き込んで2度目のダウンを奪うと6ラウンドには的確なパンチでロープに追い詰め、左から右アッパー、右フックのコンビネーションでがら空きの顔面にドンピシャで強打を見舞い、マウスピースを吐き出させて決着をつけた。
「左の打ち終わりをずっと狙っていましたよね。おそらくこのパターンも練習でやってきたとおり。倒されて、倒してという展開でしたけど、終わってみれば“尚弥選手は本当に凄い”といつもどおりうならされた試合。彼のベストバウトではないとは思いますが、劇的な試合になったことで世間的なインパクトとしてはとてつもなく大きかった。日本ボクシング界の次につながるどころか大きな扉を開いてくれたなって感じました」
フェザー級も近い?
次戦は9月を予定。試合後のリングにも上がった18戦全勝でWBO、IBF1位にランクされるサム・グッドマンとの防衛戦でまず間違いないだろう。
スーパーバンタム級で今回が3試合目。この階級も通過点に過ぎなくなってきたと、飯田は言う。
「タパレス戦の評論ではリカバリー(前日計量後の回復)でちょっと水分が多かったのかもしれないと言った記憶があります。今回はそういう印象もないし、完璧なコンディションだったのではないでしょうか。体自体大きく見え、この階級でもパンチ力が通用することは十二分に証明しましたし、奇しくもダウンしたことで耐久性があることも証明できました。ネリ選手にこういう勝ち方をして、スーパーバンタム級にいるのも長くないなって正直思いましたね。フェザー級が近くなっている、と。31歳になって今がピークとみる向きもありますが、まだまだそうじゃないって思わせてくれる試合内容でもありました。いや、本当にモンスターですよ(笑)」
<前編から続く>