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ケンタッキーダービー制覇まであとわずか…フォーエバーヤング“3着惜敗”の真の価値とは?「坂井瑠星の騎乗も見事」「あの“左手”は妨害なのか」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byGetty Images
posted2024/05/06 17:03
現地時間5月4日に行われたケンタッキーダービー。フォーエバーヤング(写真中央)は直線で壮絶な叩き合いを演じ、僅差の3着に敗れた
直線では、外のシエラレオーネに押し込まれ、ぶつけられてもバランスを崩さず追いつづけた。そのまま押圧されるのではなく、鞭を右から左に持ち替え、押し返しながら真っ直ぐ走らせた騎乗は、間違いなくワールドクラスのそれだった。
シエラレオーネ鞍上の動きは“妨害”だったのか
ゴール前で、シエラレオーネの鞍上のタイラー・ガファリオンが、鞭を持った左手でフォーエバーヤングを押したように見えた。あれは、自分の馬が内に刺さるのを、手綱だけでは矯正し切れず、距離を取ろうと思わず手が伸びたのではないか。ガファリオンとしては、横並びになった3頭のなかで自分の馬の脚色が一番よかったので、できることなら両手で追いつづけたかったはずだ。坂井の動きを妨害しようとしたわけではないように、私には見えた。
フォーエバーヤングにとっては、外のシエラレオーネも伸びていたから一緒に追い込めた部分もあったが、ぶつけられたロスはゼロではなかった。間違いないのは、坂井がフォーエバーヤングを真っ直ぐ走らせるために、でき得る最善の騎乗をした、ということだ。
昨年、坂井は、同じ矢作厩舎のコンティノアールでこのレースに出るはずだったが、左後肢の歩様の乱れが回復せず、レース前々日に出走取消となる悔しさを味わった。
今年のケンタッキーダービー惜敗は、1999年の凱旋門賞で「勝ちに等しい」と言われたエルコンドルパサーの2着、2012年の凱旋門賞で圧勝かと思われながら最後に差されたオルフェーヴルの2着と並び、語り継がれる「世界戦での惜敗」となるのではないか。
名勝負であったことは確かだが、 願わくは、次に見られる世界での名勝負では、日本馬が先頭でゴールしてほしい。
頂のすぐ近くまで来たチームジャパンの今後に注目したい。