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名手ルメール「“あの最強馬”と同じフィーリング」“特殊な天皇賞・秋”を制したマスカレードボールは超逸材なのか?「まだ中高生」手塚調教師の証言
posted2025/11/03 17:20
天皇賞・秋を制したマスカレードボールとクリストフ・ルメール。超スローペースを攻略し、3歳牡馬が世代交代を印象づけた
text by

島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Keiji Ishikawa
勝ち馬は「レーティング世界一」に輝いた歴史的名馬に匹敵する逸材なのか。
第172回天皇賞・秋(11月2日、東京芝2000m、3歳以上GI)で、1番人気のマスカレードボール(牡3歳、父ドゥラメンテ、美浦・手塚貴久厩舎)が直線で豪快に抜け出しGI初制覇を遂げた。3歳馬の優勝は3年ぶり6頭目。騎乗したクリストフ・ルメールにとっては3週連続のGI制覇となった。
「武豊と岩田康誠が前を固めて…」62秒の超スローに
武豊のメイショウタバルが逃げ、岩田康誠のホウオウビスケッツが2番手につけた。2頭とも序盤は折り合わず、鞍上が重心を後ろにして手綱を引いている。
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2人のベテラン騎手が前を固める形になって後続は動くに動けなくなり、1000m通過62秒という超スローペースになった。
4コーナー手前で一気にペースが速くなり、直線へ。
ラスト400m地点でタスティエーラがメイショウタバルとホウオウビスケッツをかわして先頭に躍り出た。
その外からマスカレードボールが末脚を伸ばし、ラスト200mを切ったところで先頭に立った。そのまま最後まで伸び切り、先頭でゴールを駆け抜けた。
勝ちタイムは1分58秒6。
3/4馬身差の2着は同じ3歳牡馬のミュージアムマイル。一昨年の天皇賞・春を勝ったジャスティンパレスが3着。逃げたメイショウタバルは6着、ともに流れをつくったホウオウビスケッツは13着だった。
“異常な上がりタイム”から見るレースの本質
検量室前に戻ってきたルメールはマスカレードボールの背で両手を挙げ、「やったー!」と満面の笑みを浮かべた。
「ゲートを出てから1歩目がよかったので、すぐ前に行けると思ったけど、ストライドが大きいから最初のコーナーまでは他馬のほうが速く、ミドルポジションになりました。ずっとタスティエーラをマークして、直線で外に出してから加速しました」
これがテン乗りだったが、見事に能力を引き出した。
「坂を上がってからマスカレードボールのフルパワーをお願いしました。ダービーではジワジワ伸びる感じだったけど、今日は切れ味があった」


