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ケンタッキーダービー制覇まであとわずか…フォーエバーヤング“3着惜敗”の真の価値とは?「坂井瑠星の騎乗も見事」「あの“左手”は妨害なのか」
posted2024/05/06 17:03
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Getty Images
壮絶な叩き合いのすえ、日本の人馬が世界の頂に、あと一歩のところまで迫った。
アメリカ競馬の最高峰、第150回ケンタッキーダービー(5月4日=日本時間5日、チャーチルダウンズ・ダート2000m、3歳GI)で、坂井瑠星が騎乗するフォーエバーヤング(牡、父リアルスティール、栗東・矢作芳人厩舎)が僅差の3着と健闘。ゴール前では日本馬初の快挙達成か、と思われた惜敗であった。
もう1頭の日本馬、テーオーパスワードも5着と好走した。
大接戦に敗れた矢作師「ただひと言、悔しいです」
20頭立ての11番枠から遅れ気味のスタートを切ったフォーエバーヤングは中団馬群の後ろに待機。3、4コーナーで外から進出し、外のシエラレオーネと馬体を併せて猛然と末脚を伸ばした。直線でシエラレオーネに何度も馬体をぶつけられながらも、先に抜け出したミスティックダンとの差を詰める。内のミスティックダン、真ん中のフォーエバーヤング、外のシエラレオーネの3頭が横並びになったところがゴールだった。
勝ったのはミスティックダン。鼻差の2着がシエラレオーネ。さらに鼻差の3着がフォーエバーヤングという大接戦だった。
フォーエバーヤングを管理する矢作芳人調教師は「ただひと言、悔しいです」と声を絞り出すように振り返った。
「馬は素晴らしかったです。すごくよく頑張ってくれました。本当に、日本の馬はまったく慣れないような環境のなか、これだけ走れる彼には頭が下がります。ただ、あそこまで行ったんで、勝ちたかったです。この経験は今後に生かさなければいけないし、間違いなく生きてくると思います。世界一の馬になれるよう、一緒に歩んでいきたいですね」
日本の人馬が挑んだ「スポーツで最も偉大な2分間」
2021年、矢作師が管理したラヴズオンリーユーがブリーダーズカップ(BC)フィリー&メアターフ、マルシュロレーヌがBCディスタフを制し、世界中に日本馬の強さを見せつけた。
日本で「競馬の祭典」というと日本ダービーだが、アメリカの「競馬の祭典」は、ひとつの競馬場で2日間にわたっていくつものカテゴリーのGIが開催されるBCである。素晴らしく華やかなレースだが、しかし、1984年創設と歴史は浅い。