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中国戦で一発退場、西尾隆矢に駆け寄った“3人の選手”「みんなが温かく迎えてくれて…」TV中継には映らなかった“ロッカールームの真実”
posted2024/04/19 17:01
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Getty Images
その瞬間を目視していた者はおそらくほとんどいなかった。
U-23アジアカップのグループリーグ初戦。中国との試合の前半15分、日本の左コーナーキックは相手にクリアされたが、後方で藤田譲瑠チマが持ち直して次の攻め手を探していたところ、藤田が突如動きを止めた。目線の先の離れた所に、倒れ込んでいる中国の10番、ジャ・フェイファンがいた。
ほどなく主審がVARと交信を始め、オンフィールドレビューへ。映像にはDF西尾隆矢の左肘が中国選手の顔に当たる場面が映し出されていた。主審は西尾にレッドカードを提示した。
接触の直前、激しく競り合っていた西尾とジャ・フェイファン
その直前、西尾とジャ・フェイファンはコーナーのポジション取りで激しく競り合っていた。コーナーキックがクリアされたため西尾がペナルティーエリアを出て下がって行ったところを、ジャ・フェイファンが追いかけて背後から西尾に接触。振り払おうとして上げた左肘が相手の顔を直撃したのだ。ただ、映像を見る限り、レッドカードは致し方ないものに思われた。
この時、時計は17分。前半8分の松木玖生の先制ゴールで1-0とリードし、その後も続いた攻勢ムードがこの瞬間に一転し、残り73分間を10人でどう戦っていくか、日本チームは風雲急を告げられた。
だが、23歳以下の日本代表選手たちは“クレバー”と“クール”のスイッチを素早く入れ、なおかつ熱量を上げた。
西尾は主審に一発退場を告げられて一瞬だけ「えーー!」というジェスチャーを見せたものの、すぐに判定を受け入れ、足早にピッチから離れた。