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「VARがなければレッドどころか…中国は意図的に」日本通ブラジル人記者が斬るU-23初戦と長谷部誠引退「監督でも欧州で成功してほしい」
posted2024/04/19 17:11
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
AFP/JIJI PRESS(L),Takuya Sugiyama(R)
16日にドーハ(カタール)で行なわれたU23アジアカップ(パリ五輪アジア最終予選を兼ねる)グループステージ初戦の日本対中国は、意外性に満ちた試合だった。
3月中旬から約3カ月の予定で日本に滞在しているブラジルのスポーツメディアきっての日本通チアゴ・ボンテンポ記者(38)にこの試合をテレビ観戦してもらい、感想を聞いた。
久保や彩艶は当然だが、唯人や福井も…
――まず、この大会に招集されたメンバーをどう思いましたか?
「大前提として、欧州組を自由に招集できない、という問題があるよね(注:クラブは年齢制限なしの公式国際大会並びにFIFAが定める国際Aマッチデーには選手を供出する義務があるが、五輪を含む年齢別世界大会ではその義務がない)。FW久保建英(22、レアル・ソシエダ)とGK鈴木彩艶(21、シント・トロイデン)はA代表常連で、いつもクラブに出してもらっているから仕方がないとして、MF鈴木唯人(22、ブレンビー)、MF福井太智(19、ポルティモネンセ)らを供出してもらえず、招集できなかったのは残念。ただ、それは彼らが所属クラブで貴重な戦力とみなされているからで、日本のフットボールの成長を示す証でもある。ブラジルも、同じ理由でパリ五輪南米予選に欧州組の多くを招集できず、敗退した。
また、日本国内でプレーする選手に関してもFC東京から3人出してもらったので、左SBバングーナガンデ佳史扶を招集できなかった」
――この試合の日本の先発メンバーについてどう思いましたか?
「概ね予想通りだったが、右SBに半田陸(ガンバ大阪)ではなく関根大輝(柏レイソル)を起用したのは意外だった」
――前半8分、日本が幸先良く先制しました。
「最高のスタートを切ったね。右サイドで山田楓喜(東京ヴェルディ)と関根のコンビネーションでチャンスを作り、山田の精度の高い左足クロスを松木玖生(FC東京)がうまくマークを外して決めた」
VARでのレッド…日本にとって良い教訓になったのでは
――ところが、前半17分、CB西尾隆矢(セレッソ大阪)が退場処分を受けて状況が一変します。
「当初、主審も副審も気付かず流していたが、VARで注意を喚起されてのレッドカード。VARがなければ、おそらく何の処分も受けていなかった。中国選手が後方からわざとぶつかってきて、西尾が反射的に肘を振り、そこに相手の顔があった、もしくは中国選手が意図的にそのような位置に顔を置いた、という状況だったと思う。