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“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「なんで新日本プロレスに行かないの?」息子の疑問に父・諏訪魔はなんと答えた? Jリーガーになった息子に伝えたプロ魂と愛のエール
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph bySUWAMA FAMILY
posted2024/04/20 11:02
中学校入学式を前に撮影した2ショット写真。息子・幸成にとってリングで戦い続ける父はずっと憧れだった
「(横浜FMのチームカラーである)トリコロールの一員としてプロサッカー選手になることが夢から目標に変わった。(プロとしての)最高のお手本が近くにいる幸せと、責任を感じるようになりました」
そこから幸成のプロサッカー選手になるという想いは一気に加速した。
父譲りの恵まれた体躯を生かしたフィジカルで周囲を圧倒するだけでなく、カバーリングや予測する守備力を磨いた。ユース昇格後には世代別日本代表にも選出され、2020年にはトップチームの2種登録も経験している。
しかし、高3の時にトップチームへの昇格を見送られた。人生で初めての挫折だった。
「告げられた帰りの電車で家族に『無理やった』とLINEを送りました。お父さんは出迎えてくれて、『マリノスは優勝争いしているし、高卒プロは厳しいよな』と一緒に落ち込んでくれました。そこで『大学でがんばれ』とエールを送ってくれたことで、よりサッカーに対する情熱が溢れました」
父が息子に伝えたプロの厳しさ
名門・筑波大学に進学した幸成はすぐに頭角を現す。186センチの身長を生かした高さとハードマークに加え、同大でサッカーのメカニズムや身体操作を学んだことで、フィジカルに知能が加わってたちまち大学サッカー界屈指のセンターバックに成長を遂げた。昨年はU-20日本代表としてU20アジア杯に出場している。
古巣からの吉報は予想よりも早く舞い込んだ。一度は昇格への道を断たれたマリノスから、大学2年の時点で入団オファーが届くまでに成長した。
「ここからは自分でどこまで結果を残せるか。プロの世界はそこまで甘くないぞ」
幸成は父の言葉をしっかりと胸にしまった。