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“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「僕のお父さんは悪役レスラー」“暴走専務”の息子(Jリーガー)が明かす“最強の英才教育”「ヒーローはウルトラマンよりも傷だらけの父」
posted2024/04/20 11:01
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
「お父さんの決めポーズなんです」
笑みを浮かべてカメラに目線を送るのは、筑波大蹴球部のディフェンダー、諏訪間幸成(3年)だ。186センチ、85キロという恵まれた体躯を生かした守備力は早くから評価され、今年3月に、2026年から横浜F・マリノス加入することが発表された。
そんな有望株には屈強なDNAが受け継がれている。諏訪間の父は全日本プロレスの専務を務める諏訪魔だ。
「大きな傷を負っても平気な顔で帰ってくる。実家の庭には筋トレ器具がずらりとあって……小さい頃は当たり前だと思っていたのですが、考えてみたら異様ですよね(笑)」
Jリーガーになる夢を叶えた道のりには、47歳の今も現役レスラーとして活躍する父の背中を追ってきた時間がある。
“人間凶器”と恐れられたお父さん
諏訪魔こと諏訪間幸平は、若かりし頃にレスリング選手として活躍した。オリンピック出場は叶わなかったが、幸成が1歳になる前の2004年4月に馳浩のスカウトで全日本プロレスに入門し、レスラーに転身。06年1月にヒールターンし、リングネームも現在の「諏訪魔」に改名。悪役レスラーとして名を馳せるようになった。
188センチ、120キロの肉体は幼稚園や小学校の行事では一際目立った。リングに場所を変えれば凶器を使ってなりふり構わずに相手レスラーに襲いかかる。ド派手な髪色と髪型、暴言の数々、新聞や雑誌を見れば『人間凶器』『暴虐アリゲーター』という異名が並んでいた。無慈悲なくらいに大暴れする父を異質な目で見る友人たちもいたかもしれない。
しかし、幸成の目からは常に「かっこいいお父さん」であった。