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「なにをコラァ、お前っ」前田日明ブチギレ“伝説の控え室ボコボコ事件”…29年前のあの日、何が起きたのか? 坂田亘の対戦相手が証言する真相
posted2024/04/21 11:01
text by
細田昌志Masashi Hosoda
photograph by
Sankei Shimbun
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「有名動画」という言葉がある。SNSなどを通じて広く拡散された動画のことだが、芸能人やアスリート、ユーチューバーに負けじとプロレス・格闘技におけるそれも、なかなか豊富である。修斗創始者・佐山聡の合宿での例の動画や、長州力と橋本真也の「タココラ問答」がそれに該当するが、衝撃の大きさだけで言えば、前田日明の「坂田亘暴行動画」が一番かもしれない。マニア以外でも一度は目にしたことがあるのではないか。
前田日明、本人に聞いた真相
1995年5月20日、総合格闘技団体・リングスの鹿児島アリーナ大会のバックヤードで、第1試合出場後、記者の質問に応じていた坂田亘の前に現れたリングス総帥の前田日明が、数分に渡って殴る蹴るの制裁を加えた衝撃動画である。筆者は以前、この出来事の背景を前田日明本人に尋ねたことがある。すると、当人はにべもなくこう答えた。
「だって、まったく気合の入ってない試合やったんだもん。と言うのも、これには伏線があって、前に同じ相手とやった試合が酷かった。そのときに『お前、わかってるな。次、同じような試合をしたら……』って釘を刺してたわけ。その忠告通り実行したまでで」
さらに、こうも言った。
「自分が新日本プロレスに入門した頃、猪木さんがまさにこうだった。若手選手が気合の入ってない試合をやろうもんなら、容赦なく鉄拳制裁。あるいは山本小鉄さんに命じて、試合中に竹刀を持って乱入させて、若手をシバいたこともあったりね」
坂田亘の相手は何者だったのか?
この、猪木流指導の原点が“日本プロレスの父”力道山にあるのは想像がつく。以前、掲載した元リキボクシングクラブ所属選手「琴音竜」こと琴音隆裕のインタビューにもあるように、常に若手選手の試合に目を光らせていた力道山は、気合の入らない試合をしていたら、竹刀を持って自ら乱入して、客前だろうと容赦なく打擲を加えていた。すなわち、前田の行為は「力道山‐猪木」と受け継がれた厳格な指導方法の一環と見てよく、日本のプロレスの正統な系譜と言って差し支えないかもしれない。
ただし、一つ気になることがある。