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“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「なんで新日本プロレスに行かないの?」息子の疑問に父・諏訪魔はなんと答えた? Jリーガーになった息子に伝えたプロ魂と愛のエール
posted2024/04/20 11:02
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
SUWAMA FAMILY
一流アスリートの親はどう“天才”を育てたのか――NumberWeb特集『アスリート親子論』では、さまざまな競技で活躍するアスリートの原点に迫った記事を配信中。本稿では、全日本プロレスの“暴走専務”こと諏訪魔の父としての顔を、Jリーガーになった息子・諏訪間幸成(筑波大3年/横浜F・マリノス内定)が明かしています〈全2回の後編〉
「よく“プロレスラーの息子”と言われて嫌じゃないの? と聞かれるんですが、嫌なんて思ったことは一度もないですよ。逆に、誇りですね」
年頃の大学生だ。少し照れてもおかしくないが「パワーがもらえます」と満面の笑みで父・諏訪魔の決めポーズを真似る。リスペクトする理由は他でもない。父のプロとしての生き方が、現在の幸成の土台を形成しているからだ。
「アキレス腱を切っているのに…」
父の生き様を見せつけられた、ある試合がある。幸成が小学6年だった2016年1月2日、諏訪魔は全日本プロレスの専務取締役の座を辞任して3冠ヘビー級王者の秋山準に挑んだ。1200人を超える観客が集まった後楽園ホールで見事に王座に返り咲くのだが、実はこの試合で右アキレス腱断裂という大怪我を負った。
「秋山選手との試合が終わった後、家族のグループLINEに『大怪我をしたかもしれない』とメッセージが入った。普段はそんなことを言ってこないから、ただ事ではないぞ、と」
この一報を受け、幸成は母と妹と2階にあったキングサイズのベッドを解体し、1階に運んで組み立て直した。父の負担を少しでも減らしたい思いからだった。しかし、父はいつも通り、何食わぬ顔で自ら車のハンドルを握って帰宅した。