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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
岡崎慎司に激怒?「ふざけんな! 香川真司の名前を出すんじゃねえ」絶対にサボらなかった男へ“たった一度”のお説教「第二の岡崎を育成して」
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph bypicture alliance/AFLO
posted2024/04/10 11:02
大きな飛躍を遂げた2014-15シーズン、ブンデスリーガ日本人最多得点を更新した岡崎に師匠から愛のムチが届いた
象徴的なのが、レスター時代の2015年8月15日。ウェストハム戦で決めた、プレミアリーグ初ゴールの場面だ。前半27分、左サイドに流れたジェイミー・バーディーにボールが渡った瞬間、一気にアクセルを踏んでゴール前へ向かった。バーディーがニアサイドへクロスを送ると、加速十分の岡崎が選択したのは頭ではなく、足でのボレーシュート。右足インステップで的確に捉えたボールがゴールネットを……揺らさない。
これも岡崎らしさだ。GKが弾き、空中に漂ったボールをジャンプ一番、泥臭く頭で押し込んだ。杉本は言う。
「GKが弾いたところに、また入って行けるのも岡崎の凄みです。欧州に渡ってからの動きは、エスパルス時代とは比べ物にならないほど洗練されました。走りだけでなく、ポストプレーやドリブルも、試合を重ねるごとに上手くなっていった。マインツやレスター時代には見事なオーバーヘッドも決めましたけど、あんなシュート、清水時代には絶対できなかったですからね」
出世しても変わらない姿勢
岡崎が欧州へ渡ってからも、杉本による個人指導は続いた。オフ期間の対面トレーニングだけでなく、杉本が動画とテキストで練習メニューのポイントを送り、実際に岡崎が実施した映像を見て、改善すべき点をフィードバックした。
岡崎の学ぼうとする姿勢も、ルーキーの頃から変わらなかった。どれだけ代表とクラブで実績を積み上げても、謙虚で、貪欲で、誰からも愛されて、イジられる。そんな人柄だから、杉本が岡崎に「お説教」したのは、たった一度だけだ。